Web Analytics
アクセス解析は、直す場所を決めるために使う
Webサイト改善では、デザインを変える前に、どのページが見られているか、検索からどんな言葉で来ているか、問い合わせフォームへ進んでいるか、スマートフォンで読みにくくないかを確認します。
アクセス解析は「数字を眺めて満足する道具」ではありません。問い合わせ、資料請求、予約、購入など、事業に近い行動までの道のりを見て、どこを直すか決めるための道具です。
まず3つの道具を分けて考える
アクセス解析といっても、見る道具によってわかることが違います。最初は、Google Analytics、Google Search Console、ヒートマップの3つを分けて考えると混乱しにくくなります。
| 道具 | わかること | 向いている改善 |
|---|---|---|
| Google Analytics | サイト内で何が起きたか。どのページを見たか、問い合わせや資料請求に進んだか。 | フォーム到達、送信完了、キーイベント、流入元別の成果確認。 |
| Search Console | Google検索でどう見られているか。検索語、表示回数、クリック、掲載順位。 | 検索意図の確認、記事タイトル改善、伸びているテーマの発見。 |
| ヒートマップ | ページ内でどこまで読まれたか、どこがクリックされたか。 | ボタン位置、読まれない見出し、長すぎる説明、スマホ表示の改善。 |
Google Analyticsだけを見ても検索語は十分にわかりません。Search Consoleだけを見ても、サイト内で問い合わせに進んだかはわかりません。役割を分けて見ることが大切です。
キーイベントを決める
Google Analyticsでは、問い合わせ送信や資料請求完了など、事業上重要な行動をキーイベントとして確認できます。昔の言い方で「コンバージョン」と呼ばれることもありますが、まずは「大事な行動」と考えれば十分です。
| サイトの種類 | キーイベントにしたい行動 | 補助的に見る行動 |
|---|---|---|
| BtoBサイト | 問い合わせ送信、資料請求、相談予約。 | 料金ページ閲覧、事例ページ閲覧、フォーム到達。 |
| 士業・専門サービス | 相談予約、電話タップ、問い合わせ送信。 | 料金、対応業務、プロフィール、実績ページ閲覧。 |
| 店舗サイト | 予約完了、電話タップ、ルート案内、LINE追加。 | メニュー、写真、口コミ、アクセスページ閲覧。 |
| ECサイト | 購入完了、カート追加、会員登録。 | 商品ページ閲覧、送料・返品ページ閲覧。 |
| 採用ページ | 応募、説明会申込、資料請求。 | 募集要項、社員紹介、福利厚生ページ閲覧。 |
最初から細かく設定しすぎると管理できません。まずは「問い合わせ完了」「資料請求完了」「電話タップ」など、売上や商談に近い行動から確認します。
まず見るべき数字
数字は多すぎると迷います。最初は「どこから来たか」「何を見たか」「次の行動に進んだか」「どこで止まったか」を見ます。
流入元
検索、広告、SNS、紹介、直接アクセスなど、どこから見込み客が来ているかを確認します。
検索語
Search Consoleで、どんな悩みや言葉からページが見つかっているかを見ます。
閲覧ページ
サービス、事例、料金、FAQなど、問い合わせ前に必要なページが見られているか確認します。
フォーム到達
サービスページや記事から問い合わせフォームへ進めているかを確認します。
送信完了
フォーム入力中の離脱が多い場合は、項目数や説明文を見直します。
ページ別離脱
重要ページの途中で離脱している場合は、説明不足や導線不足を疑います。
検索流入はSearch Consoleで見る
検索から来る人を増やしたいなら、Search Consoleで検索語、ページ、表示回数、クリック、クリック率、掲載順位を見ます。ここで大切なのは、順位だけを追いかけることではありません。
| 見る数字 | 意味 | 改善の考え方 |
|---|---|---|
| 表示回数 | 検索結果にページが表示された回数。 | 需要があるテーマか、見出しや本文が検索意図に合っているかを見る。 |
| クリック | 検索結果から実際に来た回数。 | タイトルや説明文が読者の悩みに合っているかを見る。 |
| クリック率 | 表示されたうち、クリックされた割合。 | 検索語とタイトルがずれていないか、魅力が伝わるかを見る。 |
| 掲載順位 | 検索結果でのおおよその位置。 | 順位だけでなく、その検索語が事業に近いかを見る。 |
| ページ別の検索語 | 1ページがどんな言葉で見つかっているか。 | 読者が求める情報を追加し、不要なズレを直す。 |
たとえば「法人カード ポイント」で来ている人と、「法人カード 審査 落ちた」で来ている人では、読みたい内容が違います。検索語を見ると、記事をどう増強すべきかが見えます。
フォーム改善は段階で見る
問い合わせが少ないとき、フォームそのものが悪いとは限りません。そもそもフォームに到達していないのか、到達しているのに送信されないのかで、直す場所が変わります。
| 段階 | 見ること | よくある原因 | 改善例 |
|---|---|---|---|
| サービスページ閲覧 | 相談前に必要なページが見られているか。 | 検索流入が少ない、ページタイトルが弱い。 | 課題別記事、事例、料金目安を追加する。 |
| フォーム到達 | 問い合わせボタンが押されているか。 | ボタンが少ない、読者の不安が残る。 | 中盤にもボタンを置き、FAQや流れを追加する。 |
| 入力開始 | フォーム画面で入力が始まっているか。 | 入力項目が多そう、個人情報の扱いが不安。 | 項目数、利用目的、返信目安を見直す。 |
| 送信完了 | 最後まで送信されたか。 | エラーがわかりにくい、スマホで入力しづらい。 | 必須表示、確認画面、スマホ入力を改善する。 |
| 商談化 | 送信後に商談へ進んだか。 | 問い合わせ内容が対象外、返信が遅い。 | フォーム項目、資料導線、CRM連携を見直す。 |
改善優先順位の決め方
| 状況 | 原因候補 | 改善例 |
|---|---|---|
| 訪問数はあるが問い合わせが少ない | 訴求、事例、導線、フォームの問題 | サービス説明、事例、ボタン、FAQを補強する |
| フォーム到達が少ない | 導線が目立たない、相談前の不安が残る | 中盤にもCTAを置き、料金目安や流れを追加する |
| フォーム送信完了が少ない | 入力項目が多い、返信目安が不明 | 必須項目を減らし、返信タイミングを明記する |
| スマホの離脱が多い | 表示速度、文字量、ボタン位置 | 見出し、余白、フォームUI、電話導線を見直す |
ヒートマップで「読まれていない場所」を見る
ヒートマップは、ページ内でどこが見られたか、どこがクリックされたか、どこで離脱されやすいかを見る道具です。Microsoft Clarityのような無料で始めやすいツールもあります。
ヒートマップは便利ですが、1人ひとりの動きを細かく追うための道具ではありません。個人を特定しようとするのではなく、ページの読みにくさや導線の弱さを見つけるために使います。
月1回の改善会議で見る順番
アクセス解析は毎日見ても、何をするか決めなければ意味がありません。中小企業なら、月1回だけでも十分です。数字を見て、1つか2つ改善する場所を決めます。
- 今月の問い合わせ・資料請求・予約数を見る。まず事業に近い行動を確認します。
- 流入元を見る。検索、SNS、広告、紹介のどこから成果が出ているかを見ます。
- 検索語を見る。伸びている悩み、ずれている検索語、クリックされていないテーマを確認します。
- 重要ページを見る。サービス、料金、事例、FAQ、フォームの数字を見ます。
- 1つ改善を決める。タイトル修正、FAQ追加、ボタン位置、フォーム項目など、具体的な作業に落とします。
- 翌月に結果を見る。改善前後で数字が変わったかを確認します。
よくある失敗
| 失敗 | なぜ困るか | 直し方 |
|---|---|---|
| PVだけ見る | 読まれていても問い合わせに近づいているかわからない。 | キーイベント、フォーム到達、資料請求を一緒に見る。 |
| 順位だけ見る | 事業に関係の薄い検索語で上がっても成果につながりにくい。 | 検索語と問い合わせ内容を照らし合わせる。 |
| 平均だけ見る | スマホだけ悪い、特定ページだけ悪い、という問題を見落とす。 | ページ別、端末別、流入元別に分ける。 |
| データを見て終わる | 改善作業に落ちない。 | 月1回、直す場所を1つ決める。 |
| タグを入れっぱなしにする | フォーム変更やURL変更で計測がずれることがある。 | 送信テスト、サンクスページ、電話タップを定期確認する。 |
関連する見直しテーマ
改善対象の整理はWebサイト改善、フォーム・事例・FAQの深掘りは問い合わせ導線改善、問い合わせ前の接点作りはBtoBリード獲得、ページが増えた後の回遊改善はサイト内検索の導入方法、改善後の増加見込みはWeb問い合わせ改善シミュレーターで確認できます。