オフィス・総務ガイド
最初に台紙ではなく、相手の意向と届け先を確認する
取引先の訃報、社員や家族の不幸、取引先役員の就任、開店・移転、結婚式。会社から祝電・弔電を送る場面は突然やってきます。急いでいても、いきなり文例や台紙を選ぶのではなく、電報を受け付けているか、いつ・どこへ・誰宛てに届けるかを先に確認します。
送る対象や金額に全国共通の正解があるわけではありません。先方の意向、相手との関係、自社の慶弔規程や過去の対応をそろえ、同じ立場の相手へ判断がぶれない仕組みにすることが大切です。
時間がないときの5項目
この5項目がそろわない場合は、訃報・案内を送った担当者や会場へ確認します。検索で見つけた古い住所や、メール署名だけを頼りに送らないようにします。
会社から電報を送る場面
| 場面 | よくある対応 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 自社の社員本人・役員の不幸 | 会社・代表者・部署などの名義で弔電を検討する。 | 遺族の意向、社葬か、会社側の窓口、香典・供花との重複。 |
| 社員・役員の家族の不幸 | 慶弔規程の対象範囲に沿って弔電や香典を検討する。 | 続柄、弔電辞退、家族葬、会社名を出してよいか。 |
| 取引先の経営者・役員・担当者の不幸 | 関係性と過去対応を見て、会社または代表者名義で検討する。 | 正式な訃報、先方の意向、誰の名義で送るか、社内承認。 |
| 取引先役員の就任・昇進 | 祝電、祝花、手紙などから関係性に合う方法を選ぶ。 | 就任日、役職名、受取先、他の贈答と重複しないか。 |
| 開店・開業・移転・竣工・周年 | 式典や営業開始日に合わせて祝電を送る。 | 正式名称、開催日時、店舗・会場の受取可否、休業日。 |
| 社員・取引先の結婚式 | 出席できない場合や会社として祝意を示す場合に祝電を検討する。 | 式場、披露宴日時、新郎新婦の氏名、旧姓、受取締切。 |
「この相手なら必ず送る」という外部の一覧より、自社の慶弔規程、相手との関係、先方の意向を優先します。
家族葬なら弔電を送らない方がよい?
家族葬は、参列者を家族や親しい人に絞る葬儀の形です。家族葬だから弔電もすべて禁止とは限りません。一方で、「弔電・供花・香典は辞退します」と案内されている場合は、その意向を尊重します。
| 案内の内容 | 判断 | 対応 |
|---|---|---|
| 弔電辞退が明記されている | 送らない。 | 社内記録へ辞退の事実を残し、必要なら後日別の方法でお悔やみを伝える。 |
| 家族葬とだけ記載 | 自動的に送付・不送付を決めない。 | 訃報の連絡元や葬儀会場へ、受け付けているか確認する。 |
| 会社対応の窓口が指定されている | 窓口の案内に従う。 | 会場、宛名、差出人名義、供花などとの重複を確認する。 |
| 確認先がなく、遺族へ負担をかけそう | 無理に当日手配しない。 | 取引先の担当窓口へ確認し、後日の手紙や連絡も検討する。 |
電報とほかの方法を使い分ける
| 方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 電報 | 式や葬儀の場へ、会社として形式を整えて気持ちを届けたい。 | 受取可否、日時、宛名、会場、差出人名義を正確にする。 |
| 参列・訪問 | 関係が深く、先方が参列や訪問を受け付けている。 | 家族葬、参列辞退、面会の負担を確認する。 |
| 供花・香典・贈答品 | 社内規程や先方との慣例があり、辞退されていない。 | 電報と重複して過剰にならないよう、総額と名義をそろえる。 |
| 手紙・メール・電話 | 急な連絡、式後の挨拶、電報を辞退された場合など。 | 相手が対応を求められていると感じない文面・時間帯にする。 |
弔電の送り先・宛名・差出人
社長名義、会社名義、部署一同、担当者名義のどれにするかは、相手との関係と社内規程で決めます。複数部署が別々に送る前に、総務や秘書部門で重複を確認します。
祝電の送り先・宛名・差出人
| 場面 | 受取人・宛名 | 届け先 |
|---|---|---|
| 就任・昇進 | 就任者の新しい役職と氏名 | 勤務先や就任披露会場。受取開始日も確認する。 |
| 開店・移転・竣工 | 会社・店舗・代表者・責任者 | 新住所または式典会場。開業前に受け取れるか確認する。 |
| 結婚式 | 新郎新婦。氏名・旧姓の表記は案内に合わせる。 | 結婚式場・披露宴会場。式場の受付締切を確認する。 |
| 周年・表彰 | 会社、団体、代表者、受賞者 | 記念式典会場または勤務先。 |
役職や社名が変わる場面ほど、古い名刺や連絡先をそのまま使わず、公式発表や案内状で正式表記を確認します。
文面は「立派さ」より誤りがないことを優先する
電報サービスには用途別の文例があります。ゼロから難しい文章を作るより、文例を土台にして、相手との関係や会社名義に合う表現へ整える方が安全です。
- 故人、喪主、新郎新婦、就任者、会社名、役職名の漢字を確認する。
- 弔電では、不幸が重なる印象を与える言葉や、宗教・宗派に合わない表現を避ける。
- 祝電では、就任前の役職、旧会社名、開店前の住所などを書かない。
- 差出人の会社名・部署・役職・氏名も文字数やページ数に含まれるか確認する。
- プレビュー画面で改行、外字、旧字体、連名の並びを確認する。
AIに文案を作らせる場合も、名前、日時、宗教表現、事実関係を人が確認します。訃報などの個人情報を、そのまま外部AIへ入力しない運用も必要です。
電報サービスの料金と法人利用を比べる
表示された台紙価格だけで比べると、メッセージ料、文字追加、オプション、請求書発行などを見落とします。最終確認画面で総額と到着予定を確認してください。
| サービス | 2026年7月時点の費用・特徴 | 法人利用で見ること |
|---|---|---|
| D-MAIL | Web申込は最初の1ページ300文字までメッセージ料1,430円。別途台紙代。追加ページ、電話申込、配達通知などは追加料金。 | Webは午後2時までの申込完了で原則当日配達。一部地域・年末年始・商品条件を確認する。 |
| 日本郵便 Webレタックス | 680円から。文字数による追加料金がなく、台紙やカラー利用で料金が変わる。 | おおむね午後3時30分までで当日配達。一部地域は午後1時30分まで。料金後納、ロゴ・署名画像も確認できる。 |
| For-Denpo | 商品ごとの料金に最大350文字までの文字料金を含む。商品・地域により配達条件が変わる。 | 法人会員は請求書払い、一括申込、差出人・文例登録、注文・配送履歴に対応。 |
| でんぽっぽ | 台紙・ギフト・供花など商品別の料金。申込時に総額と配達可能地域を確認する。 | 法人向けに請求書、口座振替、KDDI電話料金との合算などの支払方法がある。 |
料金、申込締切、配達地域、商品在庫は変わります。特に当日配達は、申込完了時刻、地域、会場、天候、年末年始で異なるため、必ず各社の申込画面で確認してください。
D-MAILは2026年5月に提供条件が変わった
NTT東日本・NTT西日本の電報は、2026年5月27日から特定信書便事業として提供されています。Web申込のメッセージ料は、最初の1ページ300文字まで1,430円、電話申込は1,870円で、台紙代は別です。
古い比較記事には、25文字までの料金や以前の受付条件が残っている場合があります。会社の手配マニュアルや比較表も、現在のページ単位料金と当日配達の締切に更新します。
料金は5項目で比較する
年に1〜2回なら、一件ごとの価格と手配のわかりやすさを優先できます。複数拠点や社員数が多く手配件数が増える会社は、法人請求、差出人テンプレート、利用履歴、部署別管理まで含めて比較します。
社内の手配フローを決める
- 連絡を受ける:訃報・就任・式典案内の原文と連絡元を保存します。
- 事実を確認する:辞退、日時、会場、受取人、相手との関係を確認します。
- 規程を見る:送付対象、予算、名義、香典・供花との組み合わせを確認します。
- 承認を取る:担当部署、上長、役員など、金額・相手に応じた承認を取ります。
- 申し込む:文例、台紙、宛名、差出人、到着予定、総額を二人で確認します。
- 記録する:受付番号、申込画面、文面、金額、領収書・請求書を保存します。
- 重複を防ぐ:誰の名義で何を送ったか、関係部署へ共有します。
承認フローを決めておくと、社長が外出中でも、予算内の定型手配を止めずに進められます。
慶弔規程に入れておきたい項目
| 項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 対象 | 社員・役員本人、配偶者、子、父母、取引先など、どこまで会社対応するか。 |
| 対応方法 | 祝電・弔電、香典、供花、祝花、見舞金などの組み合わせ。 |
| 金額基準 | 相手の役職や関係で変える場合も、判断者と上限を決める。 |
| 差出人名義 | 会社、代表者、役員、部署、社員一同の使い分け。 |
| 承認者 | 定型予算内、重要取引先、規程外で承認経路を分ける。 |
| 手配担当 | 総務、秘書、営業、各拠点のどこが申し込むか。 |
| 記録 | 相手、関係、日付、名義、金額、受付番号、証憑の保存先。 |
小さな会社でも、簡単な一覧があるだけで「前回はいくらだったか」「営業部と総務が二重に送った」といった迷いを減らせます。
会社の経費として残す情報
電報料金の会計処理は、相手と目的で変わります。国税庁は、得意先など社外の人の慶弔に際して支出する費用を交際費等の範囲として示しています。一方、従業員やその親族の慶弔に際し、一定の基準に従って支給する通常の金品は福利厚生費となる考え方を示しています。
- 誰に、どのような関係・目的で送ったか。
- 慶弔規程や社内承認のどの基準を使ったか。
- 申込日、配達予定日、差出人名義、受付番号。
- 申込完了画面、領収書、請求書、カード明細。
- 弔電・祝電と一緒に供花や香典などを手配した場合の総額。
具体的な勘定科目や税務上の取扱いは、会社の事実関係で異なります。規程と処理をそろえ、判断に迷う場合は税理士へ確認してください。
よくある失敗
- 弔電辞退の案内を見落として送る。
- 会場ではなく故人の勤務先や旧住所へ送る。
- 喪主、新郎新婦、就任者の漢字や旧姓を間違える。
- 会社名・役職名が古い、または差出人が誰かわからない。
- 午後の申込でも当日必ず届くと思い込み、式に間に合わない。
- 台紙価格だけを見て、メッセージ料やオプションを見落とす。
- 営業部と総務が別々に手配し、会社から二通届く。
- 受付番号や領収書を個人メールに残し、経費精算できない。