複合機・プリンター費用の見直し

オフィス整備ガイド

複合機は「会社っぽさ」ではなく、紙業務の量で決める

複合機やプリンターは、開業時に何となく置きたくなる設備です。ただし、費用は月額リース料だけでは決まりません。カウンター料金、カラー印刷の比率、保守、トナー、用紙、FAX、スキャン保存、設置スペースまで含めて考える必要があります。

電子契約、クラウドストレージ、請求書システムが進むほど、紙に出す必要は減ります。契約更新や移転のタイミングでは、今の印刷枚数とこれから減らせる紙業務を見直してから、リース・レンタル・購入を比較しましょう。

ユウ
複合機って、オフィスにあると一気に会社っぽくなりますよね。置きましょう。強そうです。
ミナミ
強そうかどうかではなく、月間印刷枚数、カラー比率、スキャン、FAX、保守条件で判断します。
ユウ
会社っぽさのために置くには、ちょっと大きな置物ですね。
ミナミ
はい。紙が多い会社には心強いですが、紙が少ない会社には過剰なこともあります。
ユウ
高級な紙排出マシンにしないよう、紙への愛を棚卸しします。

やさしい用語メモ

複合機コピー、プリント、スキャン、FAXなどをまとめてできる業務用機器です。
リース機器を買わず、一定期間の契約で月額利用する方法です。途中解約や総額を確認します。
レンタル比較的短い期間で借りる方法です。契約期間や保守範囲はサービスによって異なります。
カウンター料金印刷枚数に応じてかかる料金です。モノクロとカラーで単価が違うことがあります。
保守故障対応、点検、トナー交換などのサポートです。どこまで含まれるか確認します。
ペーパーレス紙に出さず、PDFやクラウド保存で業務を進めることです。

まず複合機が本当に必要かを判断する

複合機は便利ですが、すべての会社に最初から必要とは限りません。印刷枚数が少ないなら、小型プリンター、コンビニ印刷、外部印刷、PDF運用で足りることもあります。一方で、契約書、図面、申請書、配送伝票、店舗資料など紙が多い会社では、業務効率に直結します。

状況考え方確認すること
月に数十枚程度まずは小型プリンターや外部印刷で足りる可能性がある。カラー品質、急ぎ印刷、スキャンの必要性。
月に数百枚以上業務用プリンターや定額レンタルも候補になる。インク・トナー代、保守、故障時の代替。
月に数千枚規模複合機リースや大型機を比較する価値がある。カウンター料金、速度、耐久性、保守拠点。
スキャンが多い紙を減らすために複合機を使う考え方もある。自動原稿送り、保存先、ファイル名ルール。
FAXが必要複合機FAX、インターネットFAX、廃止の可否を比較する。取引先のFAX依存度、番号維持費、受信後の保存。

家庭用プリンターではだめなのか

開業直後なら、家庭用プリンターや小型ビジネスプリンターで十分なこともあります。問題は「印刷できるか」ではなく、毎月の印刷量、壊れたときの業務停止、インク代、スキャン速度、複数人で使うときの安定性です。

選択肢向いている会社注意点
家庭用プリンター月に数十枚、急ぎ印刷が少ない、写真や資料を少量だけ出す。インク代、耐久性、紙詰まり、複数人利用、スキャン速度に限界が出やすい。
小型ビジネスプリンター月に数百枚程度、A4中心、スキャンや封筒印刷も少し使う。保守、トナー代、故障時の代替機、両面印刷やADFの有無を確認する。
業務用複合機月に数千枚、部署で共有、スキャン・FAX・大量印刷が多い。リースや保守の契約期間が長くなりやすい。移転や解約時も見る。
外部印刷・コンビニ印刷チラシ、冊子、名刺、年に数回の大量印刷。納期、データ作成、機密情報、印刷品質を確認する。

迷う場合は、まず3か月だけ実際の印刷枚数を記録します。月間枚数、カラー比率、スキャン件数、FAX件数が見えてから契約すると、過剰な機器を選びにくくなります。

費用は月額リース料だけで見ない

複合機の見積もりでは、月額リース料が目立ちます。しかし実際の負担は、印刷枚数、カラー比率、カウンター料金、保守、トナー、用紙、設置・撤去、契約期間で変わります。

月額リース料機器本体にかかる月額。契約年数と総額を見る。
カウンター料金1枚ごとの印刷料金。カラー単価が高い場合は特に注意する。
最低利用料金印刷枚数が少なくても一定額がかかることがある。
保守範囲故障対応、訪問費、部品交換、トナー提供が含まれるか見る。
契約期間途中解約、更新、入れ替え、移転時の扱いを確認する。
周辺費用用紙、電気代、設置スペース、廃棄、ネットワーク設定も見る。

月額費用をざっくり計算する

複合機の費用は、月額リース料と印刷枚数を分けて見るとわかりやすくなります。細かな条件は契約ごとに違いますが、最初の比較では次のように考えます。

月額総額の目安 =
  月額リース料
+ モノクロ印刷枚数 × モノクロ単価
+ カラー印刷枚数 × カラー単価
+ 最低料金・保守対象外費用
+ 用紙・電気代・周辺作業の手間

たとえばカラー印刷が多い会社は、リース料が安くても総額が高くなることがあります。逆に印刷枚数が少ない会社では、最低料金や契約期間の方が重くなることがあります。

リース・レンタル・購入・定額型の違い

複合機やプリンターは、買うか借りるかだけではありません。契約期間、保守、印刷量、機種の自由度、解約しやすさで向き不向きが変わります。

方式向いているケース注意点
リース一定期間、業務用複合機を安定して使いたい会社。契約期間が長くなりやすい。途中解約や総額を確認する。
レンタル短期利用、拠点開設、印刷量がまだ読めない会社。月額は高めでも、契約の柔軟性がある場合がある。
購入印刷量が少ない、機器を自社所有したい会社。故障時対応、保守、消耗品、買い替えを自社で考える。
定額型インク・トナー代や保守を含め、毎月の印刷費を読みやすくしたい会社。対象機種、印刷上限、保守条件、解約条件を確認する。
外部印刷チラシ、名刺、冊子など、きれいに大量印刷したい場面。納期、データ作成、送料、少部数対応を見る。

契約前に確認したい質問

見積書をもらったら、料金表だけで判断せず、運用で困りそうな点を質問します。契約後に「聞いていなかった」となりやすい部分を先に確認します。

途中解約途中解約できるか、残債や違約金があるか、移転時はどうなるか。
保守対応故障時の受付時間、訪問目安、代替機、部品交換、トナー配送。
料金条件最低料金、超過料金、カラー単価、スキャン課金の有無、値上げ条件。
設置条件搬入経路、電源、ネットワーク、Wi-Fi、有線LAN、セキュリティ設定。
契約終了返却、撤去費、データ消去、更新通知、解約通知期限。
請求管理請求書の発行方法、部署別集計、会計処理、月次確認への反映。

スキャン運用を作ると紙は減らしやすい

複合機は印刷する機械としてだけでなく、紙を減らす入口にもなります。紙で届いた請求書、契約書、申込書、FAXをスキャンし、決めた場所へ保存できると、紙の保管場所と探す時間を減らせます。

決めること注意点
保存先クラウドストレージ、社内サーバー、会計ソフト、文書管理ツール。誰でも見られる場所に保存しない。権限を分ける。
ファイル名日付_取引先_書類名_金額.pdf など。後から検索できる名前にする。
スキャン後の紙一定期間保管、確認後廃棄、原本保管など。契約書や税務書類は保存要件を確認する。
担当者受け取った人、経理担当、総務担当。誰がスキャンして誰が確認するかを分ける。
ミス対応読み取り不良、ページ抜け、二重保存。チェック欄や月次確認で漏れを減らす。
ユウ
カウンター料金って、何をカウントしているんですか。複合機が筋トレでもしているんですか。
ミナミ
印刷枚数です。モノクロ1枚、カラー1枚で単価が違うことが多いので、カラー資料が多い会社は総額が上がりやすいです。
ユウ
カラー印刷、見た目は華やかでも請求書は地味に重い。
ミナミ
華やかさは必要な資料に絞りましょう。

紙業務を減らせるか先に見る

複合機のコスト削減は、安い機種を探すだけではありません。そもそも印刷しなくてよい業務を減らせると、必要な機種も小さくできます。

  • 契約書を電子契約へ移せるか。
  • 請求書や領収書をPDF保存・クラウド保存へ移せるか。
  • 社内資料を印刷せず、クラウドストレージやチャットで共有できるか。
  • FAXをインターネットFAXやメール連絡へ切り替えられるか。
  • 紙で残す必要がある書類と、電子で十分な書類を分けられるか。
  • スキャン後の保存先、ファイル名、閲覧権限を決めているか。

セキュリティと情報漏えいも見る

複合機には、スキャンしたデータ、印刷ジョブ、FAX受信、アドレス帳など、仕事の情報が集まります。便利な反面、設定を放置すると、関係ない人が印刷物を見たり、保存先を間違えたり、退職者の宛先が残ったりします。

  • 印刷物を放置しない。機密資料は認証印刷や手渡しルールを検討する
  • スキャン保存先を個人PCではなく、管理されたフォルダにする
  • アドレス帳やFAX送信先を定期的に見直す
  • 退職者、部署異動、外注終了時に送信先や権限を整理する
  • 契約終了や機器返却時に、保存データや設定の消去方法を確認する

文書の保存先や共有ルールは、文書管理・クラウドストレージで詳しく整理しています。

業種別の考え方

複合機の必要性は業種によってかなり違います。会社っぽさではなく、紙が売上やミス防止にどれくらい関係しているかで見ます。

業種・状況残りやすい紙業務判断のポイント
士業・コンサル契約書、申込書、本人確認、提出資料。スキャン保存、電子契約、顧客情報の権限管理が重要です。
建設・工事図面、見積書、発注書、FAX注文。A3印刷、現場資料、FAX継続の有無を見ます。
店舗・サロン同意書、予約表、POP、チラシ、レシート控え。外部印刷、POS、予約システム、顧客情報管理と合わせて考えます。
EC・通販納品書、送り状、返品連絡票、同梱カード。プリンター台数、配送ラベル、梱包作業との動線が重要です。
IT・Web制作契約書、請求書、社内資料。電子契約とクラウド保存で小型機でも足りることがあります。

契約更新前に確認するチェックリスト

複合機は契約期間が長くなりやすいため、更新時期を逃すと見直しにくくなります。契約更新の90日前くらいには、今の利用実態を確認しておくと安心です。

  1. 直近6か月から12か月の月間印刷枚数を見る。
  2. モノクロとカラーの枚数、部署別・用途別の印刷を確認する。
  3. 紙で出している業務のうち、電子化できるものを分ける。
  4. リース料、カウンター料金、最低料金、保守条件を確認する。
  5. 契約終了日、解約通知期限、移転時の扱いを確認する。
  6. 複数見積もりを取り、リース・レンタル・定額型・小型機の総額を比較する。
  7. 更新後の運用ルールを決める。カラー制限、初期設定、スキャン保存先など。

移転・増員・ペーパーレス化のタイミングで見直す

複合機は、契約更新だけでなく、オフィス移転、社員増加、在宅勤務の導入、電子契約への移行、FAX廃止のタイミングでも見直します。今の契約が悪いとは限りませんが、働き方が変わったのに機器だけ昔のままだと、固定費だけが残ります。

移転搬入経路、設置スペース、撤去費、移設費、ネットワーク設定を確認します。
増員印刷量だけでなく、認証印刷、部署別集計、置き場所を見ます。
在宅勤務紙の回覧をやめ、PDF承認や電子契約へ移せるか見ます。
FAX廃止取引先ごとに代替手段を確認し、受信後の保存ルールも整えます。

よくある質問

開業時に複合機は必ず必要ですか

必ずではありません。印刷枚数が少ない、電子契約やPDF運用が中心、外部印刷で足りる場合は、小さく始めてもよいです。紙の書類、申請、FAX、スキャンが多い業種なら早めに検討します。

リース料が安い見積もりを選べばよいですか

月額リース料だけでなく、カウンター料金、カラー単価、最低利用料金、保守範囲、契約期間、途中解約、移転時の扱いまで見ます。

ペーパーレス化すれば複合機は不要になりますか

完全に不要になるとは限りません。紙で届く書類のスキャン、郵送物、申請書、店舗や現場資料などが残ることがあります。印刷機能だけでなく、スキャン機能や保存ルールも含めて判断します。

よくある失敗

  • 月額リース料だけで選び、カラー印刷や最低料金で総額が高くなる
  • 開業直後に大型機を入れたが、実際には月に数十枚しか印刷しない
  • 契約更新の通知期限を忘れ、見直しの機会を逃す
  • FAXを残すか決めないまま、複合機FAXを前提に契約する
  • スキャンしたPDFの保存先がバラバラで、結局紙も捨てられない
  • 退職者や古い取引先の宛先が複合機に残っている
  • 機器返却時のデータ消去や撤去費を確認していない

参考にした公的情報

紙の削減やスキャン保存を考えるときは、電子取引データの保存や帳簿・書類保存の基本も確認しておくと安心です。

ユウ
複合機を選ぶ話なのに、最終的に紙を減らす話になりました。
ミナミ
そうです。印刷費を下げる一番の方法は、印刷しなくてよいものを減らすことです。
ユウ
コピー機に優しい会社は、財布にも優しい。
ミナミ
コピー機への優しさは、まず印刷ボタンを押す前に考えるところからです。