従業員を雇った後の労務管理

結論:労務管理は「問題が起きたら対応」ではなく、締め日と年次予定で回す

従業員を雇った後は、毎月の勤怠と給与だけでなく、残業、休暇、保険の変更、健康診断、就業規則、入退社などが続きます。期限が近づいてから思い出す運用では、給与の間違いや手続き漏れが起きやすくなります。

まず、従業員台帳、勤怠締め、給与確定、手続きの連絡経路、年間予定を作ります。従業員が一人でも、記録と担当者は必要です。

最初に4つの台帳を作る

台帳主な項目更新する時
従業員情報氏名、住所、連絡先、雇用区分、入社日、所属、扶養、緊急連絡先。入社、住所・氏名・扶養変更、異動、退職。
労働条件契約期間、仕事内容、勤務地、勤務時間、休日、賃金、更新条件。契約更新、昇給、勤務条件変更。
勤怠・休暇出退勤、休憩、残業、休日、遅刻・欠勤、有給付与・取得・残数。毎日・毎月、休暇付与時。
手続き・貸与物保険資格、届出日、健康診断、PC・スマホ・鍵・カード、アカウント。入退社、変更、貸与・返却、診断実施。

マイナンバー、健康情報、給与などは見られる人を限定し、一般の人事連絡用ファイルと分けて管理します。

ユウ
社員が一人なら、勤務時間は本人が覚えているので記録しなくても大丈夫ですか。
ミナミ
給与、残業、休暇、健康管理の土台なので記録します。記憶は給与計算システムと連携しません。
ユウ
一人目から、脳内タイムカードは廃止します。

毎月の勤怠・給与を同じ順番で締める

  1. 本人確認:未打刻、休憩、遅刻・早退、休暇、直行直帰、シフト変更を申告する。
  2. 上司承認:実際の勤務、残業・休日労働、休暇、業務内容を確認する。
  3. 勤怠確定:所定、残業、深夜、休日、欠勤、有給などを区分する。
  4. 給与計算:基本給、手当、割増賃金、欠勤控除、保険料、税を反映する。
  5. 二人目の確認:前月差、入退社、昇給、手当、口座、控除の大きな変化を見る。
  6. 支払・明細:給与を支払い、本人が内訳を確認できる明細を交付する。
  7. 会計・納付予定:会社負担分、預り金、税・保険料の支払予定を記録する。

詳しい給与計算の流れは給与計算・源泉徴収・年末調整で確認してください。

残業は記録だけでなく、させる前の手続きも確認する

法定労働時間を超える時間外労働や休日労働をさせる場合は、労使協定、いわゆる36(サブロク)協定の締結と届出が必要です。36は労働基準法第36条に由来する呼び方です。

実際の時間予定表ではなく、始業・終業・休憩・持ち帰り仕事を確認する。
事前承認残業の申請がなくても、実際に働いた時間を消さない。
協定・上限対象者、業務、期間、上限、特別条項の必要性を確認する。
健康長時間化した人の仕事量、休息、面談、配置を見直す。

年次有給休暇は付与日と残数を人ごとに管理する

一般に、雇い入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には年次有給休暇が付与されます。所定労働日数が少ない人には比例付与があります。

年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者には、そのうち5日について、基準日から1年以内に取得させる必要があります。本人の申請分も含めて取得状況を確認し、期限直前にまとめて取らせる運用を避けます。

管理項目確認すること運用のコツ
基準日いつ何日付与されるか。人ごとの入社日方式か、基準日を統一するか決める。
取得本人申請、計画的付与、会社の時季指定を区分。申請方法と承認者を周知する。
残数・期限繰越分と当年分、失効時期。給与明細や勤怠画面で本人も確認できるようにする。

健康診断は雇入れ時と定期実施を予定に入れる

事業者は、常時使用する労働者について、雇入れ時と、その後1年以内ごとに1回、法定項目の健康診断を行う必要があります。働き方や業務によって対象・時期・項目が異なる場合があるため、医療機関や専門家へ確認します。

  1. 対象者と受診時期を決め、勤務扱いや費用負担を案内する。
  2. 結果を本人へ通知し、個人の健康情報として閲覧者を限定して保存する。
  3. 医師の意見聴取や就業上の措置が必要な結果を放置しない。
  4. 未受診者へ個別に案内し、毎年の実施状況を確認する。

就業規則は10人になる直前ではなく、ルールが増えた時に整える

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、労働者代表の意見書を添えて所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。10人未満でも、休暇、欠勤、残業、服務、ハラスメント相談、休職、退職など共通ルールを書いて共有すると、説明のばらつきを減らせます。

インターネットのひな形を会社名だけ変えて使うと、実際の勤務・賃金・休暇と合わないことがあります。労働条件通知書、賃金規程、育児・介護、在宅勤務、社用端末など周辺ルールとの食い違いも確認します。

社会保険・労働保険は変更の連絡経路を作る

出来事会社で確認すること社内連絡
入社加入条件、資格取得、扶養、雇用保険、労災、本人情報。採用担当から手続き担当へ入社前に連絡。
住所・氏名・扶養変更必要な届出、給与・税・保険・緊急連絡先の更新。本人が変更フォームから申告。
報酬の大きな変更社会保険の月額変更が必要か。給与担当が変更月を記録。
休業・休職給与、保険料、給付申請、復職条件、連絡方法。本人・上司・手続き担当で共有範囲を分ける。
退職資格喪失、離職票、最終給与、住民税、貸与物、アカウント。退職日決定時に関係担当へ一括通知。

加入条件や届出期限は、法人・個人事業所、雇用形態、労働時間、企業規模などで変わります。個別判断は年金事務所、ハローワーク、労働基準監督署、社労士へ確認します。

年間カレンダーは「法定月」ではなく自社の締めから作る

会社ごとに給与締め、賞与、健康診断、契約更新、年休基準日が違います。次の行を年間カレンダーへ置き、実際の期限を公式案内と専門家から確認して登録します。

毎月勤怠締め、給与確定、支払、税・保険料、休暇・残業確認。
入退社・随時資格、扶養、報酬、住所、休業、貸与物、権限。
年次健康診断、有給取得、労働保険、社会保険算定、年末調整。
更新前有期契約、36協定、就業規則、保険、システム契約。

自社で行うか、社労士へ相談するか

状況自社で進めやすい相談を早めたい
通常の月次勤務が単純で、担当・確認者・システムが決まっている。変形労働、複数店舗、夜勤、歩合、休業がある。
手続き対象と期限を公式資料で確認できる。加入条件、遡及、未手続き、複数事業所が絡む。
規程実態とルールが単純で、変更が少ない。10人前後、働き方が複数、育児介護・休職・懲戒を整えたい。
トラブル事実確認と通常手続きの範囲。未払い残業、解雇、ハラスメント、労災、紛争のおそれがある。

通常の手続き・規程・勤怠設計は社労士の選び方、紛争化しそうな問題は弁護士の選び方も確認します。

ユウ
年間予定を作ったので、来年まで労務管理は完成ですね。
ミナミ
社員の入退社や制度改正は予定外にも来ます。月1回、台帳と公式情報を確認しましょう。
ユウ
カレンダーに「カレンダーを信じすぎない日」を入れます。

公式情報の確認先