結論:最初に守るのは、アカウント・端末・データ・事故時の連絡先
情報セキュリティというと、高価な機器や専門家だけの話に見えます。しかし小さな会社で先に必要なのは、誰がどのアカウントを使っているか、パソコンやスマホを更新しているか、重要データをどこへ保存しているか、事故を誰へ連絡するかを決めることです。
全部を一度に完璧にする必要はありません。会社のメール、銀行・会計、顧客情報、EC、SNSなど「止まると仕事ができないもの」から順に整えます。
いまの悩みから読むページを選ぶ
| いま困っていること | 最初にすること | 読むページ |
|---|---|---|
| 何から始めればよいか分からない | 重要なアカウント・端末・データを一覧にする。 | 最初に行う基本対策 |
| 社員のスマホや私物端末が不安 | 会社支給とBYODの範囲、紛失・退職時対応を決める。 | 法人スマホのセキュリティ |
| 契約書・顧客データが消えそう | 正式な保存場所と、別の場所へ戻せるコピーを作る。 | 文書管理とバックアップ |
| ChatGPTなどへ何を入れてよいか不安 | 個人情報・秘密情報・未公開情報の入力ルールを決める。 | AI入力データの管理 |
| 攻撃や故障で仕事が止まるのが怖い | 止められない業務と、復旧する順番・連絡先を決める。 | 小さな会社のBCP |
ユウ
うちは小さい会社なので、狙う人もいないと思うんです。
ミナミ
会社名を知って狙う攻撃だけではありません。漏れたパスワードの使い回しや、偽メールを広く送る攻撃は会社の大きさを選びません。
ユウ
選ばれし会社ではなくても、無作為抽選には参加していたんですね。
まず行う7つの基本対策
- OSとアプリを更新する:パソコン、スマホ、ブラウザ、ルーターを古いままにしない。
- パスワードを使い回さない:会社の重要サービスは長く固有のパスワードにし、管理ツールを使う。
- 多要素認証を使う:パスワードに加え、認証アプリなど別の確認を求める。
- 管理者を減らす:普段の作業に管理者権限を使わず、共有IDを避ける。
- 重要データを別の場所にも保存する:同期だけでなく、誤削除や攻撃後も戻せるバックアップを用意する。
- 怪しい連絡を別経路で確認する:振込先変更、パスワード再設定、添付ファイルは電話や公式画面から確かめる。
- 事故の連絡先を決める:気づいた人が一人で直そうとせず、社内責任者・保守会社・サービス会社へ連絡する。
会社の重要情報を3段階に分ける
| 重要度 | 例 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 高い | 銀行、給与、顧客名簿、契約書、個人情報、管理者パスワード。 | 利用者を限定し、多要素認証、操作履歴、バックアップを優先する。 |
| 社内限定 | 見積、原価、営業資料、会議メモ、未公開の商品情報。 | 会社アカウントで共有し、社外共有の期限と相手を確認する。 |
| 公開可能 | 公開済みWebページ、パンフレット、公開価格、求人情報。 | 改ざんと古い情報に注意し、公開責任者を決める。 |
分類を細かくしすぎると続きません。まず「漏れたら困る」「社内だけ」「公開してよい」の3つで十分です。
30日で最初の形を作る
1週目:一覧化重要アカウント、端末、保存場所、管理者、契約先を書き出す。
2週目:入口を守る更新、固有パスワード、多要素認証、管理者整理を行う。
3週目:戻せるようにする重要データを別系統へ保存し、実際に一つ復元してみる。
4週目:人の動きを決める入社・退職、社外共有、事故連絡の簡単な手順を作る。
最初の自己点検には、IPAの「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」も使えます。点数を取ることより、できていない項目を次の作業へ変えることが大切です。
ユウ
規程を60ページ作って、全員に読んでもらえば完璧ですね。
ミナミ
最初は一枚でよいので、更新・認証・保存・事故連絡を実行してください。読まれない規程より、今日変えた設定です。
ユウ
まず60ページ分の達成感を閉じて、多要素認証を開きます。
公式の確認・診断資料
- IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」:経営者向け、実践手順、基本方針・台帳・事故対応などのひな形。
- IPA「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」:現状確認と優先項目の洗い出し。
- 中小企業庁「中小企業の情報セキュリティ」:SECURITY ACTIONや支援制度の入口。