Resignation Procedure
退職手続きは、感情ではなく順番で進める
従業員が退職するとき、会社側は退職日を確認して終わりではありません。退職届、最終給与、有給休暇、雇用保険、社会保険、離職票、貸与物の返却、アカウント停止、引き継ぎ、個人情報の扱いまで確認することがあります。
退職理由によっては感情が動くこともありますが、手続きは落ち着いて分けて進める方が安全です。小さな会社ほど、担当者が一人で抱えやすいため、チェックリスト化しておくとミスを減らせます。
このページでは、退職が決まったときから退職後まで、会社側が確認したい実務を順番に整理します。
退職が決まったら最初に確認すること
まず確認するのは、退職の意思、退職日、退職理由、最終出勤日、有給休暇、引き継ぎの範囲です。ここが曖昧なままだと、給与計算や保険手続き、離職票の作成で迷いやすくなります。
| 確認すること | なぜ必要か | 注意点 |
|---|---|---|
| 退職日 | 社会保険や雇用保険、最終給与の基準になります。 | 最終出勤日と退職日は別になることがあります。 |
| 退職理由 | 自己都合、会社都合、契約期間満了などで書類の扱いが変わることがあります。 | 会社側の都合で言い換えない。事実を確認します。 |
| 有給休暇 | 退職日までの取得希望や残日数を確認します。 | 業務引き継ぎと有給取得の調整を早めに行います。 |
| 引き継ぎ | 顧客、案件、資料、パスワード、進行中の仕事を整理します。 | 退職日直前に詰め込むと抜け漏れが出やすいです。 |
| 貸与物 | PC、スマホ、鍵、制服、社員証、カードなどを返却してもらいます。 | 返却リストを作って、誰が確認するか決めます。 |
自己都合退職でも、会社側の対応は丁寧に
自己都合退職は、従業員本人の意思で退職することです。ただし、会社側が「自己都合だから簡単」と考えすぎると、離職票、最終給与、有給休暇、退職証明、貸与物などで不満が残ることがあります。
退職理由について意見が食い違う場合や、退職勧奨、解雇、ハラスメント、未払い残業が絡む場合は、無理に進めず、社労士や弁護士へ相談します。
最終給与・有給休暇・経費精算
最終給与では、退職日までの勤務、欠勤、残業、有給休暇、交通費、経費精算、社会保険料、住民税などを確認します。普段の給与計算より確認項目が増えることがあります。
| 項目 | 見ること | 抜けやすい点 |
|---|---|---|
| 勤怠 | 最終出勤日、欠勤、遅刻早退、残業、有給休暇。 | 退職前の有給取得や引き継ぎ期間が混ざる。 |
| 給与 | 基本給、時給、残業代、手当、締め日、支払日。 | 月途中退職の日割り計算や手当の扱い。 |
| 経費精算 | 立替交通費、備品購入、出張費、仮払金。 | 領収書や申請が退職後に残る。 |
| 住民税 | 普通徴収に切り替えるか、残額を一括徴収するか。 | 退職時期によって扱いが変わることがあります。 |
| 社会保険料 | 退職月の控除、会社負担、資格喪失日。 | 締め日と退職日だけで判断しない。 |
勤怠データが整っていると、退職時の給与確認も楽になります。日々の打刻や有給管理は勤怠管理・給与計算システムで確認できます。
雇用保険・社会保険の手続き
従業員が退職したら、雇用保険や社会保険の資格喪失手続きが関係します。離職票が必要かどうか、退職理由をどう記載するか、健康保険証を回収するかなど、確認する項目があります。
| 手続き | 主な内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 雇用保険 | 資格喪失届、離職証明書、離職票など。 | 離職票の希望、離職理由、退職日、賃金情報。 |
| 健康保険・厚生年金 | 資格喪失届、健康保険証の回収など。 | 資格喪失日、扶養家族の有無、保険証返却。 |
| 源泉徴収票 | 退職者へ交付する給与所得の源泉徴収票。 | 年内の再就職や確定申告で使います。 |
| 住民税 | 特別徴収から普通徴収への切替や一括徴収。 | 退職時期と本人への説明。 |
届出には期限があるため、退職日が決まった時点で担当者と相談先を決めます。社内に詳しい人がいない場合は、社労士へ早めに確認すると安心です。
貸与物とアカウントを止める
退職時に見落としやすいのが、会社の物とデータへのアクセスです。PCやスマホだけでなく、Googleアカウント、SNS、チャット、クラウドストレージ、会計ソフト、POS、予約システム、広告アカウントなども確認します。
返却物
PC、スマホ、鍵、カード、制服、名刺、社員証、マニュアル、書類。
クラウド
メール、Google Drive、Dropbox、Canva、NAS、共有フォルダの権限。
業務ツール
チャット、会計、勤怠、POS、予約、EC、SNS、広告、サーバー管理。
端末・通信
社用スマホ、SIM、電話番号、二段階認証、端末ロック、データ消去。
退職者アカウントが残っていると、情報漏えいだけでなく、使っていないSaaS料金の支払いにもつながります。契約の棚卸しはSaaS契約見直し、文書と権限の設計は文書管理・クラウドストレージで確認できます。
引き継ぎは「人」ではなく「仕事」で分ける
退職者にすべて聞けばよい、と考えると、退職直前に慌てます。引き継ぎは人ではなく、仕事の単位で分けると抜け漏れを減らせます。
| 引き継ぐもの | 具体例 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 顧客・取引先 | 担当者、連絡履歴、次の対応、注意点。 | 顧客別メモ、メール履歴、CRM、共有フォルダ。 |
| 進行中の仕事 | 納期、未完了タスク、確認待ち、請求予定。 | タスク一覧、進捗表、チャットログ。 |
| 日常業務 | 締め作業、発注、在庫、予約、レジ締め、入金確認。 | マニュアル、チェックリスト、動画。 |
| アカウント | 管理者、担当者、二段階認証、共有先。 | アカウント台帳、権限一覧。 |
引き継ぎ資料は、退職者個人のフォルダではなく、会社が管理する共有場所に置きます。仕事の連絡が個人LINEや私用メールに残っている場合は、今後のためにビジネスチャットや共有ドライブのルールを整えます。
揉めそうな退職は一人で判断しない
退職は、円満なものばかりではありません。未払い残業、ハラスメント、休職、解雇、退職勧奨、競業避止、秘密情報の持ち出しなどが絡む場合、会社だけで判断すると状況を悪化させることがあります。
- 退職理由について本人と会社の認識が違う
- 未払い賃金や残業代を主張されている
- 解雇や退職勧奨に関するやり取りがある
- ハラスメント、休職、メンタル不調が関係している
- 顧客情報、営業秘密、アカウントの持ち出しが心配