軽微変更・計画変更・完了検査
現場で決めてからではなく、発注前に変更ルートを判定する
省エネ適判後に断熱・建具・設備などを変える場合は、変更内容を施工・発注する前に、軽微変更か、省エネ適判の再実施が必要かを確認します。完了検査の直前にまとめて再計算すると、ルートCの証明書取得や機器の再選定が工程へ間に合わないことがあります。
軽微変更はルートA・B・Cに分かれます。ルートCでは再計算に加え、完了検査申請前に所管行政庁または登録省エネ判定機関から軽微な変更該当証明書を取得する必要があります。
最初に確認する4つの変更区分
| 区分 | 考え方 | 省エネ適判の再実施 | 完了検査での主な書類 |
|---|---|---|---|
| ルートA | 省エネ性能を向上させる変更、または性能に影響しないことが明らかな変更。 | 不要 | 軽微な変更説明書と変更根拠。 |
| ルートB | 設備種類等ごとに定められた一定範囲内で、省エネ性能を低下させる変更。 | 不要 | 軽微な変更説明書と対象設備等の根拠。 |
| ルートC | 再計算により、変更後も省エネ基準へ適合することが明らかな変更。 | 不要 | 軽微な変更説明書、軽微な変更該当証明書、再計算資料。 |
| 再適判 | 用途の変更、計算方法の変更など、軽微変更として扱えない変更。 | 必要 | 再実施した省エネ適判通知書等。 |
上表は変更判断の入口です。個別の変更がどのルートに該当するかは、当初の計算方法、変更量、建物用途、提出先の運用を踏まえて判定機関へ確認してください。
ルートA:性能向上・影響なしを根拠で示す
非住宅では、建物高さや外周長の減少、外壁・屋根・外気に接する床の面積減少などが例示されています。住宅では、一定条件のもとで外皮各部位の熱貫流率等が増加しない変更や、設備効率が低下しない変更などが該当候補になります。
- 変更前後の型番・仕様・性能値を比較できる資料を残す。
- 単体性能だけでなく、台数、能力、制御、対象範囲が同じか確認する。
- 図面上の建具番号・機器記号と、計算入力の対応を示す。
- 「高効率品へ変更」だけで済ませず、どの入力値が改善したか記録する。
ルートB:低下幅が範囲内かを設備種類ごとに確認する
性能が低下する変更でも、告示等で定められた範囲内ならルートBとなる可能性があります。ただし、空調・換気・照明・給湯・昇降機などをまとめて感覚的に判断せず、対象となる設備種類、変更量、当初計算の余裕を確認します。
ルートC:再計算と証明書取得の期間を確保する
ルートA・Bの定型条件で説明できなくても、変更後を再計算して省エネ基準適合が明らかなら、ルートCに該当する場合があります。ルートCでは、完了検査申請時までに軽微な変更該当証明書が必要です。
- 変更内容と対象図面、旧新仕様、変更理由を確定する。
- 変更後仕様で再計算し、基準適合と入力根拠を確認する。
- 所管行政庁または登録省エネ判定機関へ証明申請する。
- 質疑・補正へ対応し、軽微な変更該当証明書を取得する。
- 完了検査申請書へ、説明書・証明書・変更図書を添付する。
証明書は即日発行とは限りません。竣工直前ではなく、変更採用を決める段階で判定機関と日程を確認します。
省エネ適判の再実施を先に疑う変更
| 変更 | なぜ注意が必要か | 最初の行動 |
|---|---|---|
| 用途の変更 | 基準一次エネルギー消費量やモデル用途、入力条件が変わる。 | 変更後用途と面積を整理し、判定機関へ再適判の要否を相談する。 |
| 計算方法の変更 | 標準入力法とモデル建物法など、評価体系そのものが変わる。 | 変更理由、当初・変更後の方法、申請工程を確認する。 |
| 大きな面積・設備計画変更 | 軽微変更の定型範囲を超え、建築確認上の計画変更とも関係する可能性がある。 | 確認申請担当と省エネ担当が同時に変更区分を判断する。 |
| 住宅・非住宅範囲の変更 | 適用基準・計算プログラム・複合建築物の扱いが変わる。 | 用途境界、面積表、設備区分を更新して提出先へ確認する。 |
完了検査で照合されるもの
省エネ基準適合は建築基準関係規定に位置付けられており、完了検査の対象です。当初の省エネ計画で設置しないとした設備が現場に設置されているなど、計画書と現場が一致しない場合は、そのままにできません。
現場変更台帳に残す項目
| 項目 | 記録内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 変更番号 | 日付、工区・階・室、図面番号、変更理由。 | 設計監理・施工 |
| 旧新仕様 | 型番、性能値、台数、対象範囲、カタログ・承認図。 | 設備・施工 |
| 省エネ影響 | 影響なし、向上、低下、再計算要の仮判定。 | 省エネ計算担当 |
| 手続き | ルートA・B・C、再適判、建築確認の計画変更との関係。 | 申請担当・判定機関 |
| 承認・提出 | 建築主承認日、判定機関相談日、提出日、証明書受領日。 | プロジェクト管理 |
| 最終反映 | 竣工図、計算書、機器表、検査資料への反映確認。 | 設計監理 |
変更対応を外注するときの確認項目
- 当初計算の入力データがあり、変更担当者が再利用できるか。
- 変更区分の相談、再計算、説明書、証明申請のどこまで含むか。
- ルートCの軽微な変更該当証明書にかかる機関手数料と期間。
- 建築確認の計画変更・軽微変更との連携を誰が行うか。
- 変更1件ごとか、月次まとめか。緊急変更の受付方法。
- 現場の機器承認図・納入仕様を誰が回収し、計算値と照合するか。
- 完了検査で追加説明が必要になった場合の対応範囲。
よくある質問
性能が上がる変更なら再計算は不要ですか
ルートAとして説明できる可能性はありますが、変更根拠と軽微な変更説明書は必要です。台数・対象範囲・制御が変われば、単体性能だけでは判断できません。
変更を完了検査時にまとめて出してもよいですか
ルートCや再適判が必要だと判明すると間に合わない可能性があります。変更採用前または発注前に仮判定し、証明・審査期間を確保します。
計算代行会社を途中で変更できますか
可能ですが、当初入力データ、計算プログラムの版、図面版、質疑履歴、仮定条件を引き継げるか確認します。PDFだけでは再入力が必要になる場合があります。