共同住宅の省エネ計算代行

共同住宅・住戸・住棟

戸数ではなく、評価単位と住戸タイプから外注範囲を決める

共同住宅の省エネ計算では、「住宅部分」「共用部分」「店舗などの非住宅部分」を分け、住戸評価か住棟評価かを最初に決めます。同じ間取りでも、方位、階、妻側・中間、最上階・中間階で外皮条件が変わるため、タイプ数の数え方が費用と納期へ直結します。

省エネ基準適合、BELS、住宅性能評価、長期優良住宅、販売・賃貸時のラベルでは、必要な評価単位や成果物が同じとは限りません。提出先と目的をそろえてから計算を依頼します。

ユウ
同じ2LDKなら、1住戸だけ計算して全戸へ使えますか。
ミナミ
方位や外気に接する面、最上階か中間階かで条件が変わります。間取り名だけでは同じタイプと決められません。
ユウ
部屋番号より先に、熱の逃げ道を数えます。

共同住宅は3つの範囲を分ける

範囲主な対象計算・外注時の確認
住戸各住戸の外皮、暖冷房、換気、給湯、照明など。住戸ごとか、同一条件のタイプで整理できるか。BELSは住戸単位の評価も可能。
住棟共同住宅等の住宅部分全体。住棟評価に必要な住戸の集計方法、外皮・一次エネルギーの判定方法を確認する。
共用部分共用廊下、エントランス、集会室、管理室、共用照明・換気・給湯・昇降機等。制度上、共用部分の一次エネルギー計算を省略できる場合がある。含める場合は非住宅の標準入力法を用い、モデル建物法は使えない。
非住宅部分店舗、事務所、保育所など住宅以外の用途。住宅部分と分けて非住宅として評価し、複合建築物の手続き・ラベル方法を決める。

省エネ基準・BELS・性能評価で目的が変わる

目的確認する評価単位成果物・注意点
省エネ基準適合住宅部分の適合判定方法と、非住宅部分の有無。確認申請へ使う計算書・図書。仕様基準を使うか標準計算を使うかも確認。
BELS住棟、住戸、複合建築物のどの範囲を評価するか。第三者評価書とラベル。広告で「この住棟」「この住戸」のどちらを示すか決める。
住宅性能評価設計評価・建設評価で必要な等級と住戸範囲。断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級など。施工段階の検査も工程へ入れる。
認定・補助・融資長期優良住宅、低炭素、ZEH-M、年度事業等の要件。着工前の申請期限、必要水準、評価書の種類を制度ごとに確認する。
販売・賃貸表示住棟ラベルか住戸ラベルか。自己評価かBELSか。広告制作へ渡すラベル・評価書と、計算根拠の保管方法を決める。

住戸タイプは間取り名だけでまとめない

計算対象を整理するときは、間取り、床面積、方位だけでなく、外気・外気に通じる空間・隣接住戸へ接する部位、最上階・中間階・最下階、妻側・中間、開口部仕様、設備仕様を確認します。

階の位置最上階、中間階、最下階で屋根・床の外皮条件が変わる。
平面の位置妻側と中間住戸で外壁面積・開口部・隣接条件が変わる。
方位同じ間取りでも窓の日射条件が異なる。
断熱境界共用廊下が屋内か屋外か、ピロティ・駐車場・住戸間の扱いをそろえる。
開口部サッシ、ガラス、庇、玄関ドアの仕様差を確認する。
設備給湯、換気、暖冷房、照明、太陽光の住戸別差を確認する。

同一タイプとしてまとめられる条件は、依頼先と提出先へ確認します。タイプ集約の根拠が残っていないと、審査質疑や販売ラベルの住戸対応で手戻りになります。

共同住宅の計算に必要な図面

資料確認する内容よくある不足
住戸一覧・面積表住戸番号、タイプ、階、方位、床面積、販売・賃貸区分。タイプ名は同じだが、外皮条件や設備が異なる。
各階平面図住戸・共用部・非住宅用途、断熱境界、PS・MB、開口部。共用廊下やエントランスの屋内外区分が不明。
立面・断面・矩計階高、外壁・屋根・床、ピロティ、最下階、熱橋、断熱連続性。断熱範囲と仕上図・構造図の納まりが一致しない。
建具表住戸ごとのサッシ、ガラス、玄関ドア、庇・日除け。方位別・階別の仕様変更が反映されていない。
住戸設備図・仕様給湯、換気、暖冷房、照明、浴室乾燥、太陽光等。型番、効率、ダクト径・換気方式、採用住戸が未確定。
共用設備図共用照明・換気・給湯、昇降機、管理室等。共用部計算を含めるか省略するか決まっていない。

外注見積で確認する範囲

  • 計算対象は全住戸か、タイプ整理までか、代表住戸だけか。
  • 住戸・住棟・共用部・非住宅部分のどこまで含むか。
  • 外皮計算と一次エネルギー計算の両方を含むか。
  • 省エネ基準、BELS、住宅性能評価、認定のどの提出図書を作るか。
  • 住戸一覧と計算結果の対応表を納品するか。
  • 審査質疑、タイプ追加、住戸仕様変更を何回まで含むか。
  • 評価機関手数料、申請提出、評価書受領が別料金か。
  • PDFだけでなく、入力データ・計算シートを受け取れるか。

設計変更で影響が広がりやすい項目

変更影響する範囲管理方法
サッシ・ガラス変更該当住戸の外皮性能、住棟集計、ラベル・評価書。建具番号、対象住戸、旧新仕様、承認日を一覧化する。
断熱材・厚さ変更同じ納まりを使う複数住戸、断面・矩計、現場検査。代替材の性能資料と施工部位を計算担当へ渡す。
給湯器変更採用住戸の一次エネルギー消費性能。型番、効率、追焚、配管方式、対象住戸を照合する。
住戸タイプ・間取り変更外皮面積、床面積、設備、住戸・住棟の集計。タイプ表を更新し、計算対象の追加・再分類を確認する。
共用部・店舗変更共用部計算、非住宅計算、複合建築物の評価。用途、面積、設備系統、テナント工事区分を再確認する。

依頼から評価書までの工程

  1. 目的決定:確認申請、BELS、性能評価、認定、広告表示のうち必要なものを決める。
  2. 範囲分け:住宅・共用部・非住宅、住戸・住棟の評価単位を確定する。
  3. タイプ整理:住戸番号と外皮・設備条件を対応させ、集約条件を記録する。
  4. 一次計算:外皮・一次エネルギーの結果と、性能目標への余裕を確認する。
  5. 申請:確認・BELS・性能評価等の図書を、同じ図面版で提出する。
  6. 変更管理:建具、断熱、給湯、換気、間取りの変更を住戸一覧へ反映する。
  7. 引渡し:最終計算書、評価書、ラベル、入力データ、住戸対応表を保管する。

よくある質問

共同住宅は住棟ラベルと住戸ラベルの両方が必要ですか

販売・賃貸時の省エネ性能表示では、住棟ラベルまたは住戸ラベルのいずれかが表示されていればよいと国土交通省FAQで示されています。販売方法や説明したい性能に合わせて選びます。

共用部は必ず非住宅計算が必要ですか

共同住宅の共用部分は、一次エネルギー計算を省略できる場合があります。含める場合は非住宅の標準入力法で計算し、モデル建物法では共同住宅共用部を計算できません。対象制度と提出先へ確認してください。

BELSは全住戸分必要ですか

評価対象を住棟にするか住戸にするか、販売・賃貸広告で何を表示するかによって変わります。同一タイプの扱いや必要な評価書数を評価機関へ事前確認します。

ユウ
住戸番号と計算タイプの対応表を先に作ります。
ミナミ
設計変更、審査、広告ラベルまで同じ表を使えます。
ユウ
マンション名より先に、住戸タイプへ住所を付けます。