事業融資の審査で見られるポイント

Loan Screening

融資審査は「落とすための試験」ではなく、返済できるかを確認する場

事業融資を申し込むとき、多くの人が「何を聞かれるのか」「どこを見られるのか」で不安になります。審査では、事業の内容、資金の使い道、返済できる見通し、過去と現在のお金の流れを確認されます。

この記事では、公庫、制度融資、銀行融資、ビジネスローンを検討する前に、共通して整理しておきたいポイントをやさしくまとめます。

ユウ
融資の審査って、面接で「あなたの長所と短所は?」とか聞かれるんですか。
ミナミ
人柄も大切ですが、中心は事業の数字と説明です。何に使い、どう返すかを見られます。
ユウ
長所は前向き、短所は資金繰り表が白紙です。
ミナミ
そこは短所ではなく、今日から埋める欄です。

まず知っておきたい用語

融資事業資金を借りることです。返済義務があり、利息も発生します。
審査貸したお金が返済される見込みがあるかを確認する手続きです。
資金使途借りたお金を何に使うかです。仕入れ、設備、広告、人件費などを分けます。
返済原資返済に使うお金の出どころです。売上から残る利益や入金予定が中心です。
自己資金自分で用意した開業資金や事業資金です。準備の本気度や余力を見る材料になります。
据置期間元金返済を始めるまでの猶予期間です。利息だけ支払う期間が設定されることがあります。

審査で見られやすい7つのポイント

見るポイント何を確認されるか準備するもの
1. 事業内容何を、誰に、どう売っているか。競合との違いや販売方法。会社案内、Webサイト、メニュー表、商品資料、店舗写真。
2. 資金使途借りたお金を何に使うか。必要額に根拠があるか。見積書、発注予定、内訳表、設備資料。
3. 返済原資売上や粗利から、毎月返済できるか。売上計画、資金繰り表、返済計画、入金予定。
4. 自己資金開業や投資に、自分でも資金を用意しているか。預金通帳、資金準備の履歴、出資金の内訳。
5. 過去と現在の数字売上、利益、固定費、借入、税金の状況。決算書、確定申告書、月次試算表、通帳。
6. 既存借入と支払いすでに返済している借入やリース、カード支払いが重くないか。借入返済予定表、リース契約、カード明細。
7. 税金・社会保険滞納がないか、今後の支払いを資金繰りに入れているか。納税証明、支払予定、社会保険料の確認。

「借りたい金額」ではなく「必要な金額」を出す

融資相談でよくある失敗は、「多めに借りたい」と考えるだけで、何にいくら必要なのかを説明できないことです。資金使途があいまいだと、返済の見通しもあいまいになります。

設備資金なら見積書、運転資金なら人件費・家賃・仕入れ・広告費・外注費の内訳を作ります。開業資金なら、内装、保証金、備品、最初の仕入れ、開業前後の生活費まで分けて考えます。

設備資金内装、機械、車両、POS、厨房機器、システムなど。見積書で根拠を出します。
運転資金家賃、人件費、仕入れ、外注費、広告費、通信費など。何か月分必要かを見ます。
つなぎ資金売上入金より先に支払いが来る場合の不足分。入金予定日と支払予定日を並べます。
税金・社会保険見落としやすい支払いです。資金繰り表に入れておきます。
ユウ
「念のため多めに」はダメですか。お弁当のご飯大盛りみたいな感じで。
ミナミ
必要額に根拠があれば相談できます。でも、根拠のない大盛りは返済負担も大盛りになります。
ユウ
資金の大盛り無料キャンペーンはないんですね。

返済できる説明を作る

融資では、売上の大きさだけでなく、返済後に手元資金が残るかが重要です。売上100万円でも、仕入れ、家賃、人件費、税金、既存返済でほとんど残らないなら、新しい返済は重くなります。

返済原資を見るときは、売上ではなく粗利と固定費を見ます。粗利とは、売上から仕入れや外注費など売上に直接かかる費用を引いた残りです。ここから家賃、人件費、通信費、税金、借入返済を支払います。

数字見る理由注意点
売上事業規模を見る入口です。売上が大きくても利益が残るとは限りません。
粗利返済余力を見るための土台です。粗利率が低い事業は、返済額が重くなりやすいです。
固定費毎月必ず出ていく支払いです。家賃、人件費、リース料、SaaS費用を忘れないようにします。
税金・社会保険支払い時期に資金不足が起きやすい項目です。毎月の資金繰り表に予定として入れます。
既存返済新しい借入と合わせた返済負担を見ます。複数の返済が重なる月に注意します。

創業融資で特に見られること

創業前後は、過去の実績が少ないため、事業計画と自己資金、経験、販売先、見積書などの根拠が大切になります。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金でも、設備資金や運転資金、返済期間、事業計画の確認などが示されています。

  • 開業する事業の経験や準備状況
  • 自己資金をどのように準備したか
  • 売上計画の根拠があるか
  • 見積書、物件資料、仕入れ先、販売先が整理されているか
  • 開業後、売上が安定するまでの生活費や運転資金を見ているか

既存事業の融資で見られること

すでに事業をしている場合は、決算書や確定申告書、月次試算表、口座の入出金、既存借入の返済状況が見られます。数字が悪い月があること自体よりも、原因を説明できるか、改善策を持っているかが大切です。

売上減少一時的な減少か、構造的な減少か。回復策があるかを説明します。
利益率低下値上げ、仕入れ見直し、外注費見直し、メニュー構成の改善を考えます。
固定費増加家賃、人件費、通信費、リース料、広告費が事業規模に合うか見ます。
未入金請求書、入金予定、督促状況を整理します。
税金支払い消費税や社会保険料の支払い予定を資金繰りに入れます。
追加投資投資により売上や粗利がどう増えるかを説明します。

審査前に整えたい資料チェックリスト

資料使い道関連ページ
事業計画書・創業計画書事業内容、売上計画、必要資金、返済見通しを説明します。事業計画書の作り方
資金繰り表入金予定、支払予定、返済、税金を月ごとに確認します。資金繰り表の作り方
返済計画借入後に毎月いくら返せるかを見ます。返済計画の作り方
月次試算表直近の売上、利益、固定費、資金状況を確認します。月次締め
見積書・契約書・注文書資金使途や売上見込みの根拠になります。契約・文書管理
通帳・口座明細売上入金や支払いの流れを確認します。法人口座・ビジネス口座

融資の種類によって見られる重点は変わる

審査で見られる基本は共通していますが、融資の種類によって重視される部分は少し変わります。公的融資や制度融資は事業計画や地域支援の制度、銀行融資は決算書や取引履歴、ビジネスローンはスピードと返済負担の確認が大切になります。

融資の種類見られやすい点先に読むページ
日本政策金融公庫の創業融資創業計画、自己資金、経験、資金使途、返済見通し。公庫の創業融資準備
制度融資・信用保証協会付き融資自治体制度、金融機関、保証協会、保証料、事業計画。信用保証協会・制度融資
銀行・信用金庫の融資決算書、月次資料、入出金、返済実績、金融機関との関係。銀行・金融機関との付き合い方
ビジネスローン急ぎの資金需要、金利、返済期間、使いすぎのリスク。ビジネスローン

審査に向けて避けたいこと

  • 資金使途を「運転資金」とだけ書き、内訳を出さない
  • 売上計画が楽観的で、客数や単価の根拠がない
  • 税金や社会保険の支払い予定を資金繰りに入れていない
  • 既存借入やリース料を含めた返済負担を見ていない
  • 個人支出と事業支出が混ざり、事業のお金の流れが説明しづらい
  • 赤字や売上減少を隠そうとして、原因と改善策を説明できない
ユウ
融資審査、怖いものだと思っていましたが、要するに「何に使って、どう返すか」を言えるようにするんですね。
ミナミ
その通りです。審査対策というより、事業のお金を説明できる状態にすることが大切です。
ユウ
まず資金繰り表を作ります。白紙を卒業して、せめて薄いグレーに。
ミナミ
最終的には黒字の黒でお願いします。