Loan Screening
融資審査は「落とすための試験」ではなく、返済できるかを確認する場
事業融資を申し込むとき、多くの人が「何を聞かれるのか」「どこを見られるのか」で不安になります。審査では、事業の内容、資金の使い道、返済できる見通し、過去と現在のお金の流れを確認されます。
この記事では、公庫、制度融資、銀行融資、ビジネスローンを検討する前に、共通して整理しておきたいポイントをやさしくまとめます。
まず知っておきたい用語
審査で見られやすい7つのポイント
| 見るポイント | 何を確認されるか | 準備するもの |
|---|---|---|
| 1. 事業内容 | 何を、誰に、どう売っているか。競合との違いや販売方法。 | 会社案内、Webサイト、メニュー表、商品資料、店舗写真。 |
| 2. 資金使途 | 借りたお金を何に使うか。必要額に根拠があるか。 | 見積書、発注予定、内訳表、設備資料。 |
| 3. 返済原資 | 売上や粗利から、毎月返済できるか。 | 売上計画、資金繰り表、返済計画、入金予定。 |
| 4. 自己資金 | 開業や投資に、自分でも資金を用意しているか。 | 預金通帳、資金準備の履歴、出資金の内訳。 |
| 5. 過去と現在の数字 | 売上、利益、固定費、借入、税金の状況。 | 決算書、確定申告書、月次試算表、通帳。 |
| 6. 既存借入と支払い | すでに返済している借入やリース、カード支払いが重くないか。 | 借入返済予定表、リース契約、カード明細。 |
| 7. 税金・社会保険 | 滞納がないか、今後の支払いを資金繰りに入れているか。 | 納税証明、支払予定、社会保険料の確認。 |
「借りたい金額」ではなく「必要な金額」を出す
融資相談でよくある失敗は、「多めに借りたい」と考えるだけで、何にいくら必要なのかを説明できないことです。資金使途があいまいだと、返済の見通しもあいまいになります。
設備資金なら見積書、運転資金なら人件費・家賃・仕入れ・広告費・外注費の内訳を作ります。開業資金なら、内装、保証金、備品、最初の仕入れ、開業前後の生活費まで分けて考えます。
返済できる説明を作る
融資では、売上の大きさだけでなく、返済後に手元資金が残るかが重要です。売上100万円でも、仕入れ、家賃、人件費、税金、既存返済でほとんど残らないなら、新しい返済は重くなります。
返済原資を見るときは、売上ではなく粗利と固定費を見ます。粗利とは、売上から仕入れや外注費など売上に直接かかる費用を引いた残りです。ここから家賃、人件費、通信費、税金、借入返済を支払います。
| 数字 | 見る理由 | 注意点 |
|---|---|---|
| 売上 | 事業規模を見る入口です。 | 売上が大きくても利益が残るとは限りません。 |
| 粗利 | 返済余力を見るための土台です。 | 粗利率が低い事業は、返済額が重くなりやすいです。 |
| 固定費 | 毎月必ず出ていく支払いです。 | 家賃、人件費、リース料、SaaS費用を忘れないようにします。 |
| 税金・社会保険 | 支払い時期に資金不足が起きやすい項目です。 | 毎月の資金繰り表に予定として入れます。 |
| 既存返済 | 新しい借入と合わせた返済負担を見ます。 | 複数の返済が重なる月に注意します。 |
創業融資で特に見られること
創業前後は、過去の実績が少ないため、事業計画と自己資金、経験、販売先、見積書などの根拠が大切になります。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金でも、設備資金や運転資金、返済期間、事業計画の確認などが示されています。
- 開業する事業の経験や準備状況
- 自己資金をどのように準備したか
- 売上計画の根拠があるか
- 見積書、物件資料、仕入れ先、販売先が整理されているか
- 開業後、売上が安定するまでの生活費や運転資金を見ているか
既存事業の融資で見られること
すでに事業をしている場合は、決算書や確定申告書、月次試算表、口座の入出金、既存借入の返済状況が見られます。数字が悪い月があること自体よりも、原因を説明できるか、改善策を持っているかが大切です。
審査前に整えたい資料チェックリスト
| 資料 | 使い道 | 関連ページ |
|---|---|---|
| 事業計画書・創業計画書 | 事業内容、売上計画、必要資金、返済見通しを説明します。 | 事業計画書の作り方 |
| 資金繰り表 | 入金予定、支払予定、返済、税金を月ごとに確認します。 | 資金繰り表の作り方 |
| 返済計画 | 借入後に毎月いくら返せるかを見ます。 | 返済計画の作り方 |
| 月次試算表 | 直近の売上、利益、固定費、資金状況を確認します。 | 月次締め |
| 見積書・契約書・注文書 | 資金使途や売上見込みの根拠になります。 | 契約・文書管理 |
| 通帳・口座明細 | 売上入金や支払いの流れを確認します。 | 法人口座・ビジネス口座 |
融資の種類によって見られる重点は変わる
審査で見られる基本は共通していますが、融資の種類によって重視される部分は少し変わります。公的融資や制度融資は事業計画や地域支援の制度、銀行融資は決算書や取引履歴、ビジネスローンはスピードと返済負担の確認が大切になります。
| 融資の種類 | 見られやすい点 | 先に読むページ |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫の創業融資 | 創業計画、自己資金、経験、資金使途、返済見通し。 | 公庫の創業融資準備 |
| 制度融資・信用保証協会付き融資 | 自治体制度、金融機関、保証協会、保証料、事業計画。 | 信用保証協会・制度融資 |
| 銀行・信用金庫の融資 | 決算書、月次資料、入出金、返済実績、金融機関との関係。 | 銀行・金融機関との付き合い方 |
| ビジネスローン | 急ぎの資金需要、金利、返済期間、使いすぎのリスク。 | ビジネスローン |
審査に向けて避けたいこと
- 資金使途を「運転資金」とだけ書き、内訳を出さない
- 売上計画が楽観的で、客数や単価の根拠がない
- 税金や社会保険の支払い予定を資金繰りに入れていない
- 既存借入やリース料を含めた返済負担を見ていない
- 個人支出と事業支出が混ざり、事業のお金の流れが説明しづらい
- 赤字や売上減少を隠そうとして、原因と改善策を説明できない

