Repayment Plan
返済計画は「借りた後の毎月」を先に見る表
返済計画は、借入額、金利、返済期間だけで作るものではありません。月商、粗利、固定費、税金、社会保険、既存の返済、手元資金の余裕まで見て、毎月返しても事業が回るかを確認するための計画です。
融資の相談では「いくら借りたいか」も大切ですが、それ以上に「何に使い、どう返すか」が問われます。ここでは、難しい財務用語に寄りすぎず、小さな会社や個人事業主が自分で返済負担を確認する手順を整理します。
まず知っておきたい用語
返済計画は5ステップで見る
- 月商を見る: 毎月の売上を、良い月だけでなく平均と少ない月で見ます。
- 粗利を見る: 売上から仕入れや外注費など売上に直接かかる費用を引きます。
- 固定費を引く: 家賃、人件費、通信費、SaaS、リース、広告の固定分を引きます。
- 税金・既存返済・余裕を引く: 税金や社会保険、すでにある借入返済、急な支払いへの余裕を残します。
- 新しい返済額を入れる: 返済シミュレーションで出た月額を入れ、資金繰り表で残高が足りるか確認します。
売上ではなく「返済に使えるお金」を見る
返済で一番危ないのは、売上だけを見て「これくらい返せそう」と考えることです。売上から仕入れ、外注費、人件費、家賃、税金、社会保険、既存返済を払った後に、ようやく返済に使えるお金が見えてきます。
| 項目 | 例 | 見方 |
|---|---|---|
| 月商 | 300万円 | 売上の総額です。ここから返済額を決めないようにします。 |
| 粗利 | 135万円 | 売上から仕入れ・外注費などを引いたお金です。 |
| 固定費 | -90万円 | 家賃、人件費、通信費、SaaS、広告固定費などです。 |
| 税金・社会保険の積立 | -10万円 | 納税時期に慌てないよう、毎月分けて考えます。 |
| 既存返済 | -8万円 | すでにある借入やリースの支払いです。 |
| 安全余裕 | -10万円 | 売上の下振れや急な支払いに備える余白です。 |
| 新しい返済に使える目安 | 17万円 | この範囲内でも、資金繰り表で入金日と支払日を確認します。 |
借入額と返済期間を変えて比べる
同じ借入額でも、返済期間が短いほど毎月の返済額は重くなります。逆に返済期間を長くすると月々の負担は軽くなりますが、利息総額は増えやすくなります。返済額だけでなく、投資が回収できる時期と合わせて考えます。
| 見方 | 短い返済期間 | 長い返済期間 |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 重くなりやすい。 | 軽くなりやすい。 |
| 利息総額 | 少なくなりやすい。 | 増えやすい。 |
| 向く場面 | 短期間で回収できる運転資金、少額の借入。 | 設備、内装、車両、システムなど回収に時間がかかる投資。 |
| 注意点 | 月末資金を圧迫しないか。 | 長く借りる理由を説明できるか。 |
日本政策金融公庫の返済シミュレーションのような公式ツールでは、借入希望金額、返済方法、返済期間、据置期間、金利を入れて、返済額の目安を確認できます。ただし、試算結果はあくまで返済額の目安です。その金額を自社の資金繰り表に入れて、実際に払えるかを見ることが大切です。
据置期間は楽になる魔法ではない
据置期間があると、最初の一定期間は元金返済が抑えられ、立ち上がり時期の資金繰りが楽になることがあります。店舗開業、設備導入、新規事業など、売上が安定するまで時間がかかる場合には助けになります。
ただし、据置期間が終わると元金返済が始まります。最初だけ楽になっても、その後の返済額を資金繰り表に入れていなければ、数か月後に苦しくなります。返済計画では「据置期間中」と「据置期間終了後」を分けて見ます。
返済計画に入れるチェック項目
金融機関へ説明するときの形
返済計画は、自分の確認だけでなく、金融機関への説明にも使います。きれいな資料より、数字の根拠が大切です。なぜその借入額が必要で、どう売上につながり、毎月いくら返せるのかを説明します。
| 説明すること | 添える資料 | 見られやすい点 |
|---|---|---|
| 何に使うか | 見積書、契約書、設備資料、内装見積。 | 資金使途が具体的か。 |
| 売上がどう増えるか | 事業計画書、注文書、予約、既存売上データ。 | 売上見込みに根拠があるか。 |
| 毎月いくら返せるか | 月次試算表、資金繰り表、返済予定表。 | 返済後も資金残高が残るか。 |
| 悪い場合の対策 | 下振れケースの資金繰り表、固定費削減案。 | 計画が楽観的すぎないか。 |
よくある失敗
- 売上だけを見て返済額を決めてしまう
- 税金や社会保険の支払いを資金繰り表に入れていない
- 既存借入やリース料を合算していない
- 据置期間が終わった後の返済額を見ていない
- 返済期間を短くしすぎて月末残高が薄くなる
- 補助金や売掛金の入金を早く見積もりすぎる
- 売上が下振れしたときの対策を用意していない


