Cashflow Table
資金繰り表は、会社のお金が足りるかを見る予定表
資金繰り表は、一定期間の入金予定、支払予定、借入返済、税金、月末残高を並べる表です。損益計算書のように「儲かったか」を見るのではなく、「支払日にお金が足りるか」を見るために使います。
小さな会社や個人事業主でも、売上の入金が翌月、仕入れや家賃の支払いが今月というズレはよくあります。売上があるのに現金が足りない不安を減らすため、まず3か月先までの資金繰り表を作ってみましょう。
最初に結論。危険ラインは「月末残高」だけではない
資金繰り表では、月末残高がプラスなら安心、マイナスなら危険という単純な見方だけでは足りません。月中に支払いが集中する会社では、月末はプラスでも途中で資金が足りないことがあります。
| 見る場所 | 危険サイン | 早めにやること |
|---|---|---|
| 月末残高 | 毎月じわじわ減っている。 | 固定費、粗利率、借入返済、税金を見直す。 |
| 月中残高 | 20日や月末前に残高が薄くなる。 | 週次・日次の資金繰り表へ切り替える。 |
| 入金予定 | 特定の取引先や補助金入金に依存している。 | 入金遅れシナリオを作り、代替資金を確認する。 |
| 支払予定 | 税金、社会保険、カード引落、仕入れが同じ月に重なる。 | 納税資金、支払条件、仕入れ時期を先に調整する。 |
| 借入返済 | 返済後の残高が営業活動に足りない。 | 返済計画、据置期間、追加借入の前に返済原資を見る。 |
資金繰り表と損益計算書の違い
資金繰り表で最初につまずくのは、売上や利益と現金を同じものとして見てしまうことです。請求書を出した日と実際に入金される日は違います。クレジットカードや口座振替の支払いも、使った日と引き落とし日は違います。
| 見る表 | 何を見るか | 小さな会社での使いどころ |
|---|---|---|
| 損益計算書 | 売上、原価、経費、利益を見る。 | 事業が儲かっているか、利益率が低くないかを確認する。 |
| 資金繰り表 | 実際の入金、出金、月末残高を見る。 | 支払日にお金が足りるか、借入や支払条件の相談が必要かを確認する。 |
| 資金繰り予測 | 将来の入金予定と支払予定を見る。 | 1か月後、3か月後、6か月後の残高不足を先に見つける。 |
まず入れる項目
最初から細かく作りすぎると続きません。はじめは、月初残高、入金、支払い、借入・返済、月末残高だけで十分です。慣れてきたら、売掛金の回収予定、税金、社会保険、設備投資、補助金の入金予定を分けます。
項目は3つに分けると見やすい
資金繰り表は、自社の見やすい形で作れます。ただ、入金と支払いを全部一列に並べると、何が原因で残高が減ったのかわかりにくくなります。まずは、経常収支、非経常収支、財務収支に分けると整理しやすくなります。
| 区分 | 入れるもの | 見ること |
|---|---|---|
| 経常収支 | 売上入金、売掛金回収、仕入れ、外注費、人件費、家賃、通信費、広告費。 | 通常の営業活動でお金が増えるか減るか。 |
| 非経常収支 | 設備投資、内装工事、車両購入、補助金入金、法人税・消費税など大きな一時支出。 | いつもは出ない大きなお金で残高が崩れないか。 |
| 財務収支 | 借入入金、借入返済、利息、増資など。 | 借りた後に返済できるか、返済が重すぎないか。 |
資金繰り表のかんたんな形
まずは下のように、横に月、縦に入金と支払いを並べます。Excelやスプレッドシートで十分です。大切なのはきれいな表を作ることではなく、残高がいつ減るかを早く見つけることです。
| 項目 | 7月 | 8月 | 9月 |
|---|---|---|---|
| 月初残高 | 120万円 | 95万円 | 80万円 |
| 売上入金 | 80万円 | 110万円 | 130万円 |
| その他入金 | 0万円 | 0万円 | 50万円 |
| 仕入・外注費 | -45万円 | -60万円 | -70万円 |
| 固定費 | -40万円 | -40万円 | -40万円 |
| 税金・社会保険 | -10万円 | -15万円 | -20万円 |
| 借入返済 | -10万円 | -10万円 | -10万円 |
| 月末残高 | 95万円 | 80万円 | 120万円 |
この例では9月にその他入金があり残高が戻りますが、8月までは残高が減っています。もし9月の入金が遅れたらどうなるか、固定費を下げられるか、支払いサイトを相談できるかを事前に考えます。
作り方は5ステップ
- 今の残高を入れる: 法人口座、事業用口座、手元現金を確認し、月初残高を入れます。
- 入金予定を入れる: 請求書、売掛金、ECや決済サービスの入金日、補助金、借入予定を入れます。
- 支払予定を入れる: 家賃、人件費、仕入れ、外注費、広告費、カード引落、SaaS、通信費を入れます。
- 税金と返済を入れる: 消費税、源泉所得税、社会保険、借入返済は忘れやすいので別行にします。
- 月末残高を見る: 残高が減り続ける月、マイナスに近づく月、入金が遅れると危ない月を見つけます。
計算式はシンプルでよい
最初の資金繰り表は、難しい関数よりも見えることが大切です。基本の計算式は次の形です。
月末残高 = 月初残高 + 入金予定 - 支払予定 + 借入入金 - 借入返済
月末残高が危ない場合は、入金予定の確度、支払予定の調整余地、固定費、税金、借入返済を見ます。売上を増やすだけでなく、入金を早める、支払い時期を相談する、不要な固定費を止める、早めに金融機関へ相談する、といった選択肢を考えます。
月次・週次・日次を使い分ける
通常は月次の資金繰り表で十分です。ただし、支払いが多い月、借入返済や税金が重なる月、入金遅れが起きている時期は、週次や日次で見た方が安全です。
| 単位 | 向いている状態 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 月次 | 通常運転。3か月から6か月先を見たい。 | 月末残高、税金、借入返済、固定費の重さ。 |
| 週次 | 入金日と支払日が近く、月中の残高不足が心配。 | 第何週に支払いが集中するか。 |
| 日次 | 資金ショートが近い、支払い交渉や入金確認が必要。 | 何日にいくら不足するか。誰にいつ相談するか。 |
予定と実績を分ける
資金繰り表は一度作って終わりではありません。予定と実績を比べることで、売上入金の遅れ、予想外の支払い、固定費の増加が見えます。毎月1回、できれば週1回、予定を更新します。
3パターンで試算する
資金繰り表を1パターンだけで作ると、どうしても楽観的になります。少なくとも、標準、入金遅延、売上下振れの3パターンを作ると、危ない月を見つけやすくなります。
| パターン | 入力の考え方 | 見ること |
|---|---|---|
| 標準 | 通常どおり売上が入り、支払いも予定どおり出る。 | 普段の残高推移と、税金・返済後の余裕。 |
| 入金遅延 | 大きな入金が1〜2週間遅れる、または翌月へずれる。 | 月中に支払えない日が出ないか。短期資金や支払条件相談が必要か。 |
| 売上下振れ | 売上入金を10〜30%低めに見る。 | 固定費が重すぎないか。広告費・仕入れ・外注費を調整できるか。 |
補助金や大型入金に頼る月は、入金が遅れた場合の表を必ず作ります。後払いの補助金や売掛金は、入る見込みがあっても、入金日までは支払いに使えません。
銀行や税理士に見せるときの注意点
金融機関に融資を相談するとき、資金繰り表は重要な説明資料になります。なぜ資金が必要なのか、いつ入金があり、いつ支払いがあり、借りたお金をどう返すのかを説明しやすくなるからです。
ただし、数字だけを並べても伝わりません。大きな入金や支払いには説明を添えます。売上が増える理由、仕入れが先に増える理由、補助金が後払いになる理由、税金や社会保険の支払い時期などをメモしておくと、相談が進めやすくなります。
- 売上入金の根拠となる請求書、契約書、注文書を用意する
- 設備投資や内装工事の見積書を用意する
- 税金や社会保険の支払い予定を抜かない
- 借入返済後の月末残高が残るか確認する
- 残高が危ない月は、原因と対策をセットで説明する


