資金繰り表の作り方

このページにはプロモーションを含む場合があります。最終確認日:2026年7月8日

Cashflow Table

資金繰り表は、会社のお金が足りるかを見る予定表

資金繰り表は、一定期間の入金予定、支払予定、借入返済、税金、月末残高を並べる表です。損益計算書のように「儲かったか」を見るのではなく、「支払日にお金が足りるか」を見るために使います。

小さな会社や個人事業主でも、売上の入金が翌月、仕入れや家賃の支払いが今月というズレはよくあります。売上があるのに現金が足りない不安を減らすため、まず3か月先までの資金繰り表を作ってみましょう。

最初に結論。危険ラインは「月末残高」だけではない

資金繰り表では、月末残高がプラスなら安心、マイナスなら危険という単純な見方だけでは足りません。月中に支払いが集中する会社では、月末はプラスでも途中で資金が足りないことがあります。

見る場所危険サイン早めにやること
月末残高毎月じわじわ減っている。固定費、粗利率、借入返済、税金を見直す。
月中残高20日や月末前に残高が薄くなる。週次・日次の資金繰り表へ切り替える。
入金予定特定の取引先や補助金入金に依存している。入金遅れシナリオを作り、代替資金を確認する。
支払予定税金、社会保険、カード引落、仕入れが同じ月に重なる。納税資金、支払条件、仕入れ時期を先に調整する。
借入返済返済後の残高が営業活動に足りない。返済計画、据置期間、追加借入の前に返済原資を見る。
ユウ
売上があるなら大丈夫じゃないんですか。請求書を出した瞬間、心の口座には入金されています。
ミナミ
心の口座では家賃は払えません。資金繰り表では、売上日ではなく実際の入金日を見ます。
ユウ
心の残高不足でした。
ミナミ
現実の残高を先に見ましょう。心はそのあと整えます。

資金繰り表と損益計算書の違い

資金繰り表で最初につまずくのは、売上や利益と現金を同じものとして見てしまうことです。請求書を出した日と実際に入金される日は違います。クレジットカードや口座振替の支払いも、使った日と引き落とし日は違います。

見る表何を見るか小さな会社での使いどころ
損益計算書売上、原価、経費、利益を見る。事業が儲かっているか、利益率が低くないかを確認する。
資金繰り表実際の入金、出金、月末残高を見る。支払日にお金が足りるか、借入や支払条件の相談が必要かを確認する。
資金繰り予測将来の入金予定と支払予定を見る。1か月後、3か月後、6か月後の残高不足を先に見つける。

まず入れる項目

最初から細かく作りすぎると続きません。はじめは、月初残高、入金、支払い、借入・返済、月末残高だけで十分です。慣れてきたら、売掛金の回収予定、税金、社会保険、設備投資、補助金の入金予定を分けます。

月初残高月のはじめに口座や現金にあるお金です。
入金予定売上入金、売掛金回収、補助金入金、借入入金などです。
支払予定仕入れ、外注費、家賃、人件費、広告費、カード引落などです。
借入返済元金返済と利息を分けると、返済負担が見えやすくなります。
税金・社会保険消費税、源泉所得税、法人税、社会保険料など、忘れると大きく資金が動きます。
月末残高月初残高に入金を足し、支払いを引いた後に残るお金です。

項目は3つに分けると見やすい

資金繰り表は、自社の見やすい形で作れます。ただ、入金と支払いを全部一列に並べると、何が原因で残高が減ったのかわかりにくくなります。まずは、経常収支、非経常収支、財務収支に分けると整理しやすくなります。

区分入れるもの見ること
経常収支売上入金、売掛金回収、仕入れ、外注費、人件費、家賃、通信費、広告費。通常の営業活動でお金が増えるか減るか。
非経常収支設備投資、内装工事、車両購入、補助金入金、法人税・消費税など大きな一時支出。いつもは出ない大きなお金で残高が崩れないか。
財務収支借入入金、借入返済、利息、増資など。借りた後に返済できるか、返済が重すぎないか。

資金繰り表のかんたんな形

まずは下のように、横に月、縦に入金と支払いを並べます。Excelやスプレッドシートで十分です。大切なのはきれいな表を作ることではなく、残高がいつ減るかを早く見つけることです。

項目7月8月9月
月初残高120万円95万円80万円
売上入金80万円110万円130万円
その他入金0万円0万円50万円
仕入・外注費-45万円-60万円-70万円
固定費-40万円-40万円-40万円
税金・社会保険-10万円-15万円-20万円
借入返済-10万円-10万円-10万円
月末残高95万円80万円120万円

この例では9月にその他入金があり残高が戻りますが、8月までは残高が減っています。もし9月の入金が遅れたらどうなるか、固定費を下げられるか、支払いサイトを相談できるかを事前に考えます。

作り方は5ステップ

  1. 今の残高を入れる: 法人口座、事業用口座、手元現金を確認し、月初残高を入れます。
  2. 入金予定を入れる: 請求書、売掛金、ECや決済サービスの入金日、補助金、借入予定を入れます。
  3. 支払予定を入れる: 家賃、人件費、仕入れ、外注費、広告費、カード引落、SaaS、通信費を入れます。
  4. 税金と返済を入れる: 消費税、源泉所得税、社会保険、借入返済は忘れやすいので別行にします。
  5. 月末残高を見る: 残高が減り続ける月、マイナスに近づく月、入金が遅れると危ない月を見つけます。

計算式はシンプルでよい

最初の資金繰り表は、難しい関数よりも見えることが大切です。基本の計算式は次の形です。

月末残高 = 月初残高 + 入金予定 - 支払予定 + 借入入金 - 借入返済

月末残高が危ない場合は、入金予定の確度、支払予定の調整余地、固定費、税金、借入返済を見ます。売上を増やすだけでなく、入金を早める、支払い時期を相談する、不要な固定費を止める、早めに金融機関へ相談する、といった選択肢を考えます。

ユウ
売掛金って、売上になったけどまだ入金されていないお金ですよね。見ているとちょっと安心します。
ミナミ
安心材料ではありますが、支払日に間に合うかは別です。資金繰り表では、入金予定日まで見ます。
ユウ
売掛金は、財布に入っていない未来のお金……。
ミナミ
そうです。未来のお金で今日の支払いはできません。

月次・週次・日次を使い分ける

通常は月次の資金繰り表で十分です。ただし、支払いが多い月、借入返済や税金が重なる月、入金遅れが起きている時期は、週次や日次で見た方が安全です。

単位向いている状態見るポイント
月次通常運転。3か月から6か月先を見たい。月末残高、税金、借入返済、固定費の重さ。
週次入金日と支払日が近く、月中の残高不足が心配。第何週に支払いが集中するか。
日次資金ショートが近い、支払い交渉や入金確認が必要。何日にいくら不足するか。誰にいつ相談するか。

予定と実績を分ける

資金繰り表は一度作って終わりではありません。予定と実績を比べることで、売上入金の遅れ、予想外の支払い、固定費の増加が見えます。毎月1回、できれば週1回、予定を更新します。

予定請求書、契約、支払予定、返済予定から入力します。
実績銀行明細、カード明細、会計ソフトから実際の入出金を確認します。
差異予定より遅れた入金、増えた支払い、抜けていた税金を見つけます。
対策督促、支払条件の相談、短期資金、固定費削減、借入相談を決めます。

3パターンで試算する

資金繰り表を1パターンだけで作ると、どうしても楽観的になります。少なくとも、標準、入金遅延、売上下振れの3パターンを作ると、危ない月を見つけやすくなります。

パターン入力の考え方見ること
標準通常どおり売上が入り、支払いも予定どおり出る。普段の残高推移と、税金・返済後の余裕。
入金遅延大きな入金が1〜2週間遅れる、または翌月へずれる。月中に支払えない日が出ないか。短期資金や支払条件相談が必要か。
売上下振れ売上入金を10〜30%低めに見る。固定費が重すぎないか。広告費・仕入れ・外注費を調整できるか。

補助金や大型入金に頼る月は、入金が遅れた場合の表を必ず作ります。後払いの補助金や売掛金は、入る見込みがあっても、入金日までは支払いに使えません。

銀行や税理士に見せるときの注意点

金融機関に融資を相談するとき、資金繰り表は重要な説明資料になります。なぜ資金が必要なのか、いつ入金があり、いつ支払いがあり、借りたお金をどう返すのかを説明しやすくなるからです。

ただし、数字だけを並べても伝わりません。大きな入金や支払いには説明を添えます。売上が増える理由、仕入れが先に増える理由、補助金が後払いになる理由、税金や社会保険の支払い時期などをメモしておくと、相談が進めやすくなります。

  • 売上入金の根拠となる請求書、契約書、注文書を用意する
  • 設備投資や内装工事の見積書を用意する
  • 税金や社会保険の支払い予定を抜かない
  • 借入返済後の月末残高が残るか確認する
  • 残高が危ない月は、原因と対策をセットで説明する

よくある失敗

売上日で入れてしまう請求日ではなく、実際の入金予定日で入れます。
カード引落を忘れる使った日ではなく、引き落とし月に支払いとして入れます。
税金を後回しにする消費税、源泉所得税、社会保険は資金繰りに大きく影響します。
楽観的な売上だけで作る入金が遅れた場合、売上が下振れした場合も見ます。
更新しない予定はずれます。表は作るより、更新する方が大切です。
口座が分散しすぎる入出金口座が多いと残高確認が遅れます。用途を決めて整理します。
ユウ
資金繰り表は、未来の残高を見に行く望遠鏡ですね。
ミナミ
いいですね。見えた不足は、早めに対策できます。入金確認、支払条件の相談、借入相談、固定費の見直しにつなげます。
ユウ
未来を見たら、まず今日の領収書を片付けます。