「毎月12時間減る」ではなく、人数・回数・1回の時間から計算する
業務効率化の効果は、導入前後の1回あたり作業時間に、利用人数と毎月の回数を掛けると説明しやすくなります。ただし、全員が初日から使いこなすとは限らないため、定着率も入れて試算します。
時間を人件費に換算した金額は、すぐに現金として増えるわけではありません。残業や外注費を減らす、空いた時間を営業や顧客対応へ回すなど、時間の使い道まで決めて初めて効果になります。
ユウ
1時間短縮できたら、その場で会社の口座に2,500円増えるんですよね。
ミナミ
それは時間の価値です。残業を減らすか、空いた時間で売上を作るところまで考えます。
ユウ
時間はできても、ATMからは出てこないんですね。
現在と導入後の作業を入力
計算式
理論上の月間削減時間=人数×作業回数×(現在の分数-導入後の分数)÷60
実現する削減時間=理論上の削減時間×定着率
月間の差し引き効果=実現する削減時間×時間単価-月額費用
回収月数は初期費用を月間の差し引き効果で割って切り上げます。導入後の時間が現在より長い場合は、時間削減を0として扱います。
作業時間は実測する
| 測ること | 含める時間 | 見落としやすい時間 |
|---|---|---|
| 請求書発行 | 作成、承認、送信。 | 差し戻し、再送、入金確認、会計への転記。 |
| 経費精算 | 申請、承認、経理確認。 | 領収書回収、聞き直し、振込、保存。 |
| 勤怠集計 | 打刻確認、残業・休暇集計。 | 未打刻連絡、修正承認、給与への再入力。 |
| 問い合わせ対応 | 受付、回答、記録。 | 担当探し、過去履歴検索、引き継ぎ。 |
| AI・自動化 | 下書き、転記、要約。 | 事実確認、修正、エラー対応、保守。 |
一人の一回だけを測らず、慣れている人と不慣れな人、通常月と繁忙月を分けて計ります。待ち時間を含めるかも先にそろえましょう。
時間の価値を現金・余力・品質に分ける
| 効果 | 例 | 確認する数字 |
|---|---|---|
| 現金支出が減る | 残業代、外注費、紙・郵送費が減る。 | 導入前後の実支払額。 |
| 人の余力が増える | 社員が営業、接客、改善へ時間を回せる。 | 空いた時間を何に使ったか。 |
| ミスや事故が減る | 未請求、二重入力、期限漏れを防ぐ。 | 差し戻し、再作業、事故件数。 |
| 仕事が速くなる | 月次締め、見積、初回返信が早くなる。 | 完了までの日数・時間。 |
人件費換算額をそのまま「利益が増える金額」と説明せず、実支出、空いた時間、品質改善を分けて報告します。
導入前後を同じ条件で測る
- 改善したい一つの業務を、開始から完了まで書き出す。
- 通常月の件数、人数、1回あたり時間、差し戻し件数を測る。
- 一部の担当者で試し、導入後も同じ範囲の時間を測る。
- 二重入力、確認、エラー対応など新しく増えた作業も足す。
- 1か月後と3か月後に定着率と時間を再測定する。
- 空いた時間を残業削減・売上活動・品質改善のどこへ回すか決める。
試算に向いているテーマ
- クラウド会計で明細取込と月次確認を早くする。
- 請求・入金管理で発行、消込、未入金確認を減らす。
- 経費精算で申請、承認、領収書確認を減らす。
- 勤怠管理・給与計算で打刻確認と集計を減らす。
- GAS・スプレッドシート自動化で転記と通知を減らす。
ユウ
計算結果がプラスなら、全社一斉導入ですね。
ミナミ
まず一つの業務で、導入後の時間も測ります。二重入力が増えたら計算をやり直します。
ユウ
効率化の効果測定だけが、新しい手作業にならないようにします。
考え方の参考
- 中小企業庁「IT導入の効果を高める取組」:業務プロセスの見直し、段階導入、利用者の意見。
- 中小企業庁「中小企業のデジタル化とデータ利活用」:定量効果だけに偏らないIT投資の見方。