会社メールアドレスの作り方と運用ルール

Webサイト・EC立ち上げガイド

一人でも、取引先に出すメールは会社用を用意する

Gmailなどの無料メールが悪いわけではありません。開業準備や個人の連絡には便利です。ただ、名刺、見積書、請求書、問い合わせ返信に使う窓口は、自社の独自ドメインを使ったメールにすると、会社名と連絡先の関係がわかりやすくなります。

大切なのは見た目だけではありません。従業員ごとにアカウントを分け、問い合わせを複数人で受け、退職時に停止・引き継ぎでき、なりすまし対策を設定するところまでが会社メールの準備です。

ユウ
会社を作っても、使い慣れたGmailのままではだめですか。返信も速いです。
ミナミ
使い慣れた画面はそのままでも大丈夫です。Google Workspaceなどを使えば、Gmailの操作感で会社ドメインのメールを使えます。
ユウ
中身はいつものGmail、名札は会社になる。
ミナミ
そして鍵と引き継ぎ台帳も会社が持ちます。名札だけ立派で鍵が共用、は避けましょう。

会社メールに必要な3つのもの

独自ドメインメールアドレスの「@」より後ろです。costplan.jpのように会社が管理する名前です。
メールサービスメールを受け取り、保存し、送る仕組みです。レンタルサーバー、Google Workspace、Microsoft 365などがあります。
DNS設定ドメインを、どのメールサービスで使うかインターネット上に示す設定です。

ホームページとメールは同じドメインを使えますが、同じ会社に預ける必要はありません。たとえば、Webサイトはレンタルサーバー、メールはGoogle Workspaceという分け方もできます。

無料メールで足りる場面、会社メールへ移る境目

状況無料メールでも進めやすい会社メールを用意したい
開業準備家族や支援者との準備連絡取引先へ見積・契約・請求を出し始める
一人事業私的な連絡と事業連絡を完全に分けられる名刺、Webサイト、請求書の窓口をそろえたい
複数人ほぼ該当しない個人別アカウント、共有窓口、退職時停止が必要
問い合わせ受付件数が少なく本人だけが対応infoやsupportを複数人で見て、対応漏れを防ぎたい
一斉配信個別連絡だけニュースレターや案内を継続的に送る

メールサービスの選び方

方式向いている会社強み確認点
レンタルサーバー付属メール一人から少人数、費用を抑えたいホームページと一緒に用意しやすい。追加アドレスの費用を抑えやすい。迷惑メール対策、容量、Webメール、端末設定、共有方法、障害時対応。
Google WorkspaceGmail、Drive、Meetを会社で使いたいユーザー管理、共同作業、スマホ利用、グループ・別名アドレス。利用者ごとの料金、管理者、共有方法、保存・退職者対応。
Microsoft 365Outlook、Office、Teamsを中心に使う共有メールボックス、予定表、Officeとの連携。メールを含むプランか、権限、容量、ライセンス条件。
メール専用サービスWebとメールを分離したい、管理要件があるメール向けの管理・セキュリティ機能を選びやすい。移行支援、保存、監査、料金、既存ドメインとの接続。

一番安い月額だけでなく、社員が増えた時、問い合わせを共有する時、退職者のメールを引き継ぐ時まで想像して選びます。

個人用、役割用、共有用を分ける

種類使い方注意点
個人アドレスyamada@example.jp担当者同士の連絡、各サービスへの本人ログイン。一人一つ。パスワードを共有しない。
役割アドレスinfo@、sales@、billing@問い合わせ、営業、請求など担当が変わっても残す窓口。誰が見るか、返信名、対応期限を決める。
メールエイリアス別名を個人の受信箱へ転送一人で複数の窓口名を使う。複数人で同じ対応履歴を共有する用途には不足しやすい。
グループ・共有メールボックスsupport@を複数人で受信・返信問い合わせをチームで管理する。権限、担当済みの印、削除、送信者表示を確認する。

info@のパスワードを全員で共有する運用は避けます。各自のアカウントから権限を使って開く形なら、退職時にその人だけ外せます。

最初に作るメールアドレス

代表者・担当者個人ごとのアドレス。外部サービスの管理者は、担当変更できる形で登録します。
info@会社全般の問い合わせ。迷惑メールが増えやすいのでフォーム併用も検討します。
billing@請求書、領収書、支払い連絡。経理担当へ確実に届くようにします。
support@顧客対応。複数人で履歴を追える仕組みに向きます。

使わないアドレスを大量に作る必要はありません。一人なら個人アドレスとinfo、請求が増えたらbilling、顧客対応を分けたらsupportという順でも十分です。

会社メールを作る手順

  1. 独自ドメインを会社名義・自社管理で取得します。
  2. レンタルサーバー、Google Workspace、Microsoft 365などメールサービスを選びます。
  3. 管理者を決めます。管理者用アカウントには多要素認証を設定します。
  4. 案内に従ってDNSへMX、SPF、DKIMなどを設定します。
  5. 社員ごとのアカウントと、必要な役割アドレスを作ります。
  6. パソコン・スマホで送受信し、迷惑メール判定や差出人表示を確認します。
  7. 署名、返信期限、共有窓口の担当、退職時の停止手順を決めます。

DNSの変更はWebサイトやメールを止める可能性があります。現在の設定を控え、サービス提供会社の手順に沿って作業してください。

MX・SPF・DKIM・DMARCをやさしく理解する

MXこのドメイン宛てのメールを、どのメールサーバーで受け取るか示す案内板です。
SPFこのドメインのメールを送ってよいサーバーの候補を公開する仕組みです。
DKIM送信メールへ電子的な署名を付け、正しい送信元から来て途中で変えられていないか確認しやすくします。
DMARCSPFやDKIMの確認に失敗したメールをどう扱うか、結果をどこへ報告するか示します。

これらは「絶対に迷惑メールにならない魔法」ではありませんが、なりすましを減らし、相手に届きやすい状態を作る基礎です。メールサービス、問い合わせフォーム、請求システム、メール配信サービスなど、自社ドメインを差出人に使う全サービスを把握して設定します。

GoogleはGmail宛ての送信者にSPFまたはDKIMなどの要件を示し、大量送信者にはSPF・DKIM・DMARCを含む追加要件を設けています。一斉配信は個人のメールソフトから無理に送らず、配信停止、苦情率、認証に対応したサービスを使います。

共有メールで対応漏れを防ぐ

複数人でinfoやsupportを見るなら、「全員に転送」だけでは、誰が返信したか、二重返信していないかがわかりにくくなります。件数が増えたら、共有メールボックス、共同トレイ、問い合わせ管理ツールを検討します。

件数・人数運用例決めること
一人・少量個人受信箱へのエイリアス返信元、保管ラベル、見落とし確認。
2〜5人グループ、共同トレイ、共有メールボックス担当、対応済み、代理返信、休日当番。
件数が多い問い合わせ・チケット管理受付番号、優先度、期限、履歴、顧客情報へのアクセス。

入社・異動・退職のたびに確認する

タイミング作業残す記録
入社本人用アカウント作成、多要素認証、必要なグループだけ追加発行日、権限、端末、初回設定確認。
異動旧部署の共有権限を外し、新部署へ追加変更日、承認者、引き継ぐ案件。
退職ログイン停止、セッション・転送設定確認、会社端末回収、共有先から削除停止日時、メール・ファイルの引き継ぎ先。
担当変更役割アドレスの担当変更、取引先へ案内旧担当宛ての受信期間、返信担当。

個人アカウントを消す前に、法令・社内ルール・契約に必要な保存と引き継ぎを確認します。元社員のパスワードを知っている前提の運用にはしません。

請求書や振込先変更メールは別経路で確認する

取引先や社長になりすましたメールで、振込先や支払日を変えさせる手口があります。文章やロゴが自然でも、メールアドレスが一文字違うことがあります。

  • 振込先変更は、メールに書かれた電話番号ではなく、登録済みの連絡先へ確認する。
  • 添付ファイルやリンクを急いで開かせるメールは、差出人と依頼内容を確認する。
  • メールアカウントと管理者には多要素認証を設定する。
  • 会社のパスワードを使い回さず、共有メールのパスワードを配らない。
  • 不審メールを受けた時の報告先と、誤って開いた時の連絡手順を決める。

中小企業の情報セキュリティ対策では、アカウント、端末、バックアップ、事故対応をまとめています。

導入前チェックリスト

  • ドメインの契約者・管理アカウントを会社で把握している。
  • Web制作会社や退職者しかドメインを操作できない状態ではない。
  • 一人一アカウントで、パスワードを共有していない。
  • 管理者と利用者に多要素認証を設定している。
  • info、sales、billingなど役割アドレスの担当が決まっている。
  • MX、SPF、DKIM、DMARCの設定状況を確認している。
  • Webフォームや配信サービスなど、会社ドメインで送るサービスを一覧にしている。
  • 退職時の停止、引き継ぎ、保存の手順がある。
ユウ
会社メールは、アドレスを一個作る話ではなく、窓口と鍵と引き継ぎを作る話でした。
ミナミ
まずドメインの所有者を確認し、一人一アカウント、共有窓口、多要素認証まで整えましょう。
ユウ
infoのパスワードをホワイトボードに書く計画は中止します。
ミナミ
計画段階で止められて、今日は大きな成果です。