ビジネスフォン導入ガイド
FAXを残すべきか、やめてもよいかを整理する
FAXは古い仕組みに見えますが、業種や取引先によっては今でも残した方が安全なことがあります。一方で、紙の受信、迷惑FAX、保管、見落とし、複合機の維持費が負担になっている会社もあります。
大切なのは「FAXが好きか嫌いか」ではなく、取引先とのやり取りに必要か、代替手段へ移せるか、残すならどのくらい小さく運用するかです。
FAXを残した方がよいケース
FAXを残すべきかは、社内の好みではなく取引先の事情で決まります。相手が注文書、発注書、図面、申込書、確認書をFAXで送る運用を続けているなら、いきなり廃止すると受注や連絡に支障が出ます。
| 残した方がよい状態 | 理由 | 現実的な対応 |
|---|---|---|
| 取引先がFAX注文を続けている | 受注の入口を急に閉じると機会損失になる。 | 受信だけ残し、順次メールやフォームへ誘導する。 |
| 図面や手書き書類のやり取りが多い | 相手側の運用変更に時間がかかる。 | PDF化、スキャン、インターネットFAXを検討する。 |
| 行政・医療・士業など古い運用が残る | 相手の指定形式に合わせる必要がある。 | FAX番号を残しつつ、保管ルールを整える。 |
まず確認する4つの質問
FAXを残すかどうかは、機械の有無ではなく業務の入口で判断します。次の4つを確認すると、残す・縮小する・廃止するの方向性が見えます。
| 質問 | 見る理由 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 誰から届いているか | 重要な取引先か、営業チラシかで扱いが違います。 | 売上に直結する取引先が使っているなら、急に止めない。 |
| 何が届いているか | 注文書、申込書、図面、見積依頼、行政書類などで保存方法が変わります。 | 契約や取引証憑になる書類は、受信後の保存ルールまで決める。 |
| 月に何件あるか | 件数が少ないなら、専用機や大型複合機を維持する必要性が下がります。 | 月数件ならインターネットFAXや受信専用化を検討する。 |
| 代替できるか | メール、Webフォーム、電子契約、クラウド共有へ移せるかを見ます。 | 相手先が移行できるなら、案内期間を置いて段階的に縮小する。 |
FAXが残りやすい業種・場面
FAXは古い手段に見えますが、業務フローが長く残っている業界では、今でも注文や確認の入口になっていることがあります。
FAXをやめやすいケース
FAXをほとんど使っていない、迷惑FAXばかり届く、受信しても結局スキャンしてメール共有している。このような状態なら、FAXを残す意味は薄くなっています。
- 取引先からのFAXがほぼない
- 受信後に結局PDF化して社内共有している
- 迷惑FAXや紙・トナーの管理が負担になっている
- 注文や問い合わせをWebフォーム、メール、チャットへ移せる
いきなり廃止せず、受信から縮小する
FAXをやめたい場合でも、番号を突然止めると重要な注文や連絡を逃すことがあります。まずは受信状況を見える化し、取引先ごとに移行案内を出します。
- 1〜3か月ほど、届いたFAXの送信元、内容、対応担当を記録する。
- 重要な取引先、営業チラシ、不要な案内を分ける。
- 重要な取引先へ、メール、Webフォーム、電子契約、クラウド共有への移行を案内する。
- 移行期間中は、FAX番号を受信専用として残す。
- 残す必要がある件数だけになったら、紙の機器からインターネットFAXや複合機受信へ切り替える。
FAXの持ち方と費用の見方
FAXのコストは、月額だけでは見えません。紙、トナー、複合機、回線、受信確認、保管、見落とし対応まで含めて考えます。料金はサービスや契約条件で変わるため、ここでは費用項目の見方を整理します。
| 方式 | 向いている会社 | 主なコスト | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 複合機FAX | 紙での印刷・コピーも多い会社。 | 複合機利用料、保守、紙、トナー、回線。 | FAX利用が少ないと固定費が重くなる。 |
| 専用FAX機 | 小規模で紙受信だけ残したい会社。 | 機器代、回線、紙、インク。 | 紙管理と受信確認が必要。 |
| インターネットFAX | 紙を減らし、PDFで受けたい会社。 | 月額、送受信枚数、番号維持費。 | 番号引き継ぎ、送信先の受信可否を確認する。 |
| FAX廃止 | 取引先がメールやフォームへ移行済みの会社。 | 移行案内、フォーム整備、社内ルール作り。 | 急に廃止せず、一定期間は案内期間を置く。 |
費用は「紙代」よりも見落とし時間が大きい
FAXの費用は、紙やインクだけではありません。受信した紙を取りに行く、担当者へ渡す、スキャンする、保存する、対応済みか確認する。この時間もコストです。
| 費用・負担 | 紙FAXで起きやすいこと | 見直し方 |
|---|---|---|
| 機器・回線 | 複合機、専用FAX機、電話回線、保守費がかかる。 | FAX件数が少ないなら受信専用やインターネットFAXを検討する。 |
| 紙・トナー | 営業チラシでも紙とトナーを消費する。 | 印刷せずPDF保存、不要FAXの停止依頼、迷惑FAXの確認。 |
| 人の時間 | 受信確認、担当者振り分け、スキャン、ファイル名付けが発生する。 | 受信後の保存先と担当者を決める。 |
| 見落とし | 紙が埋もれる、担当者不在で処理が止まる。 | 受信通知、共有フォルダ、対応ステータス管理を使う。 |
| 保管 | 注文書や申込書が紙のままファイルに残る。 | スキャン保存、文書管理、契約・請求書との紐づけを行う。 |
FAXを残すなら運用ルールを決める
FAXは「届いたことに気づかない」「誰が処理したかわからない」ことが問題になりやすい連絡手段です。残すなら、受信後の確認担当と保存場所を決めます。
- 受信したFAXを誰が確認するか決める
- 注文書や申込書は、どこへ保存するか決める
- 対応済み・未対応がわかるようにする
- 迷惑FAXや不要な受信を定期的に見直す
- 取引先へメール・フォーム移行を案内する
受信後の電子保存ルール
FAXで受けた注文書や申込書を、紙のまま机や棚に置くと、後から探しにくくなります。FAXを残す場合でも、受信後はできるだけ電子データとして探せる状態にします。
契約書や注文書の保存全体は、文書管理・クラウドストレージの設計で詳しく整理しています。
よくある質問
創業時にFAX番号は必要ですか
必要な業種でなければ、最初からFAX番号を用意しなくても構いません。取引先がFAXを求めるか、申込書や注文書のやり取りがFAX前提かを確認して判断します。
インターネットFAXなら十分ですか
受信中心で紙を減らしたいなら候補になります。ただし、番号を引き継げるか、送信時の画質、送受信枚数、相手先が受け取れるかを確認します。
FAXをやめる時は何をすればよいですか
急に番号を止めず、取引先へメールやフォームへの移行を案内します。一定期間はFAX受信を残し、どの取引先がまだFAXを使っているか確認してから縮小します。
固定電話のIP網移行でFAXは使えなくなりますか
一般的な固定電話サービスのIP網移行だけで、すべてのFAXが直ちに使えなくなるという話ではありません。ただし、古い機器、特殊な通信、ISDNのデータ通信、複合機設定などは個別確認が必要です。回線や機器の契約更新時に、FAX番号、機器、送受信方式をまとめて確認しましょう。
FAX番号は代表電話と分けた方がよいですか
FAXを一定数使うなら、代表電話とは番号を分けた方が管理しやすくなります。広告、問い合わせ、部署、FAXで番号を分ける考え方は、会社で複数の電話番号を持つ方法で整理しています。

