ビジネスフォン導入ガイド
代表番号だけで足りない時の番号設計
会社の電話番号は一つだけとは限りません。代表番号、営業窓口、採用窓口、サポート窓口、広告用番号、FAX番号など、目的に合わせて二つ以上の番号を持つことがあります。
ただし、番号を増やすほど管理も費用も増えます。番号を分ける目的、誰が受けるか、どの番号をWebや名刺に載せるかを決めてから増やします。
番号を増やす前に「入口」と「行き先」を分ける
電話番号を複数持つ時は、番号そのものよりも「入口」と「行き先」を分けて考えると整理しやすくなります。入口は、相手に見せる電話番号です。行き先は、その電話を誰が受けるかです。
代表番号にかかってきた電話を社長が受けることもあれば、採用番号にかかってきた電話を人事担当へつなぐこともあります。番号を増やす目的は、見た目を大きくすることではなく、電話の迷子を減らすことです。
| 考えること | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 入口 | 外部に見せる番号。 | 代表番号、採用窓口、広告用番号、FAX番号。 |
| 行き先 | 実際に電話を受ける人や場所。 | 社長、店舗、事務担当、営業チーム、スマホアプリ。 |
| ルール | 出られない時の対応。 | 留守番電話、折り返し担当、チャット通知、営業時間外案内。 |
| 出口 | 使わなくなった番号の扱い。 | 掲載停止、転送期間、解約、古い番号への案内。 |
複数番号を持つ主な目的
番号を増やす理由は、会社を大きく見せることではありません。問い合わせの種類を分ける、広告効果を測る、部署ごとの対応漏れを減らす、FAXを別番号にするなど、運用上の目的がある時に検討します。
| 番号の種類 | 使い道 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 代表番号 | 会社全体の入口。 | 会社概要、名刺、請求書、取引先登録に載せる。 |
| 部署・窓口番号 | 営業、採用、サポート、経理などを分ける。 | 問い合わせ内容が増え、取り次ぎが多くなった。 |
| 広告用番号 | 広告や媒体ごとの反応を見る。 | チラシ、Web広告、キャンペーンの効果を確認したい。 |
| FAX番号 | FAXだけ別番号で受ける。 | 注文書や申込書をFAXで受ける取引先がある。 |
| 地域別番号 | 03、06、092など地域の印象を出す。 | 商圏や営業拠点を分けたい。 |
二つ以上の電話番号を持つ方法
複数番号の持ち方は、契約している回線や電話サービスによって変わります。昔ながらの固定回線で番号を追加する方法もあれば、クラウドPBXや03番号サービスで追加番号を使う方法もあります。
| 方法 | 特徴 | 費用の見方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 固定回線で番号を追加 | 既存の電話環境に追加しやすい。 | 番号追加、回線、工事、機器設定。 | 同時通話数や工事の有無を確認する。 |
| クラウドPBXで番号を追加 | 番号ごとに着信先や部署を分けやすい。 | 月額、番号追加、アカウント、通話料。 | 番号種別、発信番号表示、管理画面を確認する。 |
| 03番号・050番号サービスを追加 | 少人数でも会社用番号を作りやすい。 | 番号維持、転送、アプリ利用、通話料。 | 地域番号の条件、緊急通報、品質を確認する。 |
| 広告計測用番号を使う | 広告ごとの電話反応を測れる。 | 番号利用料、計測機能、録音、転送料。 | 顧客に見せる番号が増えすぎないようにする。 |
番号の掲載先を必ず管理する
電話番号を増やした時に一番困るのは、「この番号をどこに載せたかわからない」状態です。Webサイト、Googleビジネスプロフィール、名刺、チラシ、求人票、請求書、契約書、SNSプロフィール、ポータルサイトなど、番号は想像以上に広がります。
番号を追加する時は、番号そのものの一覧だけでなく、掲載先の一覧も作ります。番号をやめる時に掲載先を直せるようにしておくためです。
| 掲載先 | 確認すること | 見直しタイミング |
|---|---|---|
| Webサイト・会社概要 | 代表番号と問い合わせフォームの位置。 | 番号変更、営業時間変更、移転時。 |
| Googleビジネスプロフィール | 店舗番号、予約番号、営業時間。 | 店舗運営、電話予約が多い時。 |
| 名刺・チラシ・パンフレット | 印刷済み在庫と配布期間。 | 増刷前、キャンペーン終了時。 |
| 求人票・採用ページ | 応募者がかける番号と担当者。 | 採用開始・終了時。 |
| 請求書・契約書 | 取引先が登録する会社連絡先。 | 書式変更、取引先への案内時。 |
着信した番号がわかるようにする
複数番号を持っても、電話を受ける人が「どの番号にかかってきたか」を見分けられなければ意味が薄くなります。代表番号なのか、採用番号なのか、広告用番号なのかがわかると、最初の一言や対応スピードを変えやすくなります。
クラウドPBXや電話サービスによっては、番号名、着信履歴、通知先、録音、メモを分けられることがあります。導入前に、管理画面やスマホアプリでどう表示されるかを確認します。
- 着信時に「代表」「採用」「広告A」などの名前を表示できるか
- 不在着信の通知先を番号ごとに分けられるか
- 折り返し時にどの番号で発信するか選べるか
- 履歴や録音を番号ごとに確認できるか
複数番号のコストで見るところ
番号を一つ増やした時の費用は、番号維持費だけではありません。着信先を増やす、通話を転送する、電話機やアカウントを増やす、広告計測をするなど、使い方によって費用が変わります。
| 費用項目 | 何にかかるか | 確認すること |
|---|---|---|
| 番号維持費 | 追加番号を持つための月額。 | 番号ごとに月額がかかるか。 |
| 通話料・転送料 | 着信転送や発信で使った分。 | スマホ転送時に費用が増えるか。 |
| アカウント費用 | スマホアプリやクラウド電話の利用者。 | 人数が増えると月額がどう変わるか。 |
| 工事・設定費 | 電話機、配線、クラウド設定。 | 初回だけか、変更時にもかかるか。 |
| 管理の手間 | 番号一覧、掲載先、担当者変更。 | 誰が番号管理をするか。 |
広告用番号は「効果測定」とセットで考える
チラシ、看板、Web広告、ポータルサイトなど、電話問い合わせが重要な集客では、広告ごとに番号を分けることがあります。どの広告から電話が来たかを見えるようにするためです。
ただし、広告用番号を増やしすぎると管理が難しくなります。キャンペーンが終わった後も番号が残り、誰も見ていない番号に電話が来ることもあります。広告用番号は、開始日、終了日、掲載先、転送先、終了後の案内をセットで管理します。
| 使い方 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| チラシ専用番号 | 配布したチラシからの電話を把握しやすい。 | チラシは回収できないため、終了後の転送期間を決める。 |
| Web広告用番号 | 広告費に対する電話反応を確認しやすい。 | フォーム問い合わせや予約数と合わせて見る。 |
| 媒体別番号 | ポータル、SNS、看板などの比較に使える。 | 番号が多すぎると現場が混乱する。 |
FAX番号を分けるかどうか
FAXを使う会社では、電話番号とFAX番号を分けることがあります。電話を受けたいのにFAX音が鳴る、FAXを受けたいのに通話中で受けられない、といった混乱を避けるためです。
一方で、FAXの利用件数が少ないなら、複合機のFAX機能、インターネットFAX、PDF受信、メール添付への移行も検討できます。FAXが必要かどうかは、取引先、書類の種類、月間件数で判断します。
FAXの必要性そのものは、会社にFAXは必要かで詳しく整理しています。
番号を増やす前に決めること
番号を増やす前に、番号ごとの役割を表にします。これをしないと、どの番号に何の電話が来るのかわからなくなり、結局すべて代表番号へ戻ってしまいます。
- 番号ごとの目的を決める
- Webサイト、名刺、広告、請求書など掲載先を決める
- 誰が受けるか、出られない時どうするか決める
- 番号ごとの費用を月額で確認する
- 使わなくなった番号を定期的に整理する
番号管理表に入れる項目
番号を二つ以上持つなら、簡単な表でよいので番号管理表を作ります。難しいシステムは不要です。スプレッドシートでも十分です。
| 項目 | 記録する内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 電話番号 | 番号そのもの、番号名。 | 代表、採用、広告などを区別する。 |
| 用途 | 何のための番号か。 | 不要になった番号を見つけやすい。 |
| 掲載先 | Web、名刺、広告、請求書など。 | 変更時に直す場所を把握する。 |
| 受電先 | 担当者、部署、スマホ、店舗。 | 出られない時の責任者を明確にする。 |
| 費用 | 月額、通話料、転送料、アカウント費。 | 使っていない番号を整理する。 |
| 終了ルール | 解約、転送期間、案内文。 | 古い番号からの取りこぼしを減らす。 |
よくある失敗
| 失敗 | なぜ起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| どの番号に電話が来たかわからない | 番号ごとの着信表示や履歴を見ていない。 | 番号名を設定し、履歴で確認できるようにする。 |
| 広告用番号を放置する | キャンペーン終了後も番号が残る。 | 掲載期間と終了後の扱いを決める。 |
| 退職者のスマホに鳴り続ける | アカウント管理が曖昧。 | 退職・異動時の設定変更リストを作る。 |
| 番号が増えすぎて費用が膨らむ | 使っていない番号を見直していない。 | 半年に一度、番号と掲載先を棚卸しする。 |
よくある質問
創業時から複数番号は必要ですか
多くの場合、最初は代表番号一つで十分です。問い合わせが増え、営業、採用、サポートなどで対応を分けたくなったら追加を検討します。
FAX番号は電話番号と分けるべきですか
FAXを継続して使うなら、電話とFAXを分けた方が管理しやすいことがあります。ただし、FAX利用が少ないならインターネットFAXや廃止も検討します。
広告用番号は必要ですか
電話問い合わせが重要な広告では役立ちます。どの広告から電話が来たかを知ることで、広告費の見直しがしやすくなります。ただし番号管理の手間も増えます。
参考にした公式情報
固定電話や電話網の移行に関する基本情報は、通信事業者の公式情報も確認しておくと安心です。複数番号の持ち方や費用はサービスによって異なるため、導入前に現在の条件を確認します。
