Vendor Check
新しい取引先は、契約書より前に「本当に取引してよい相手か」を見る
新規の大口取引、初めての外注、継続的な仕入れ、後払いの受注。売上や仕事が増える話はうれしい一方で、相手をよく知らないまま進めると、未入金、納期トラブル、契約条件の食い違い、反社会的勢力との関係リスクにつながることがあります。
取引先審査は、相手を疑うための作業ではありません。安心して取引できる範囲、支払条件、確認書類、契約前に決めることを整理し、あとで困らないようにするための準備です。
まず知っておきたい用語
取引先審査で見ること
最初から難しい調査をする必要はありません。まずは、相手が実在するか、連絡が取れるか、契約名義と請求先が一致するか、支払条件が自社の資金繰りに合うかを確認します。
| 確認項目 | 見る理由 | 確認方法の例 |
|---|---|---|
| 会社名・所在地・代表者 | 契約相手を明確にするため。 | 公式サイト、登記事項証明書、請求先情報。 |
| 担当者と連絡先 | 担当者個人だけに依存しないため。 | 会社メール、代表電話、経理窓口、上長の確認。 |
| 事業内容 | 自社の取引内容と相手の事業が自然につながるか見るため。 | 公式サイト、会社概要、実績、公開情報。 |
| 支払条件 | 入金時期が遅すぎると資金繰りに影響するため。 | 見積書、発注書、契約書、請求締め日。 |
| 取引金額 | 後払いで受ける金額の上限を決めるため。 | 初回は少額、前金、分割、納品前入金などを検討。 |
| 評判・公開情報 | トラブルの兆候がないか見るため。 | 公的情報、ニュース、公式発表、業界内の情報。 |
与信管理は「相手を信用しない」ではなく「取引額を決める」こと
与信管理という言葉は堅く聞こえますが、実務では「後払いでいくらまで受けるか」「初回は前金にするか」「支払が遅れたら次の納品を止めるか」を決める作業です。
契約前チェックリスト
新規取引では、契約書の中身だけでなく、その前後の情報を残すことが大切です。あとで支払いが遅れた時や担当者が変わった時、最初の確認記録が役に立ちます。
- 契約相手の正式名称、住所、代表者、担当部署を確認する
- 発注者、請求先、支払者が同じか確認する
- 見積書、発注書、契約書、納品条件、検収条件をそろえる
- 支払サイト、振込手数料、消費税、源泉徴収の扱いを確認する
- 秘密保持、成果物の権利、再委託、損害賠償、解約条件を確認する
- 反社会的勢力排除条項が契約書にあるか確認する
- 契約書と関連資料を同じフォルダや管理表で探せるようにする
反社チェックは契約書の条項だけで終わらせない
反社会的勢力との関係を避けることは、会社の信用を守るうえで重要です。契約書に反社会的勢力排除条項を入れるだけでなく、新規取引前に公開情報を確認し、不自然な点があれば取引を急がないことが大切です。
たとえば、会社情報が極端に少ない、所在地や代表者が頻繁に変わる、契約名義と支払名義が不自然に違う、強引に即決を求める、通常と違う支払い方法を求めるといった場合は、いったん立ち止まります。
未入金を防ぐ支払条件
未入金対応は、請求後だけでなく契約前から始まっています。大きな案件ほど、納品後に全額後払いにするのではなく、着手金、中間金、納品前支払い、月次精算などを検討します。
| 条件 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 前金・着手金 | 制作、開発、長期案件、初回取引。 | 返金条件や中止時の扱いを決めておく。 |
| 中間金 | 数か月にわたる案件。 | どの段階で請求するか、検収条件を明確にする。 |
| 納品前支払い | 物販、制作物、データ納品。 | 納品条件と支払確認のタイミングを決める。 |
| 短い支払サイト | 小さな会社、仕入れ負担が重い案件。 | 相手の経理ルールと合うか事前に確認する。 |
| 取引上限 | 継続取引、後払い取引。 | 未入金が一定額を超えたら次の出荷や作業を止める。 |
取引開始後も見直す
最初の審査で問題がなくても、取引が続くうちに状況は変わります。支払いが遅れがちになった、担当者が急に変わった、発注額が急増した、契約と違う依頼が増えたといった変化があれば、取引条件を見直します。
- 毎月の未入金一覧で、遅れが続く取引先を確認する
- 発注額が増えたら、取引上限や支払条件を見直す
- 担当者変更時は、契約、請求先、承認者を再確認する
- 契約更新時に、支払条件、解約条件、反社条項を見直す
- 条件変更は口頭で済ませず、メールや変更契約で残す
確認情報は契約フォルダに残す
取引先審査の記録は、担当者の頭の中だけに残しても意味がありません。契約書、見積書、発注書、請求書、会社情報、確認メモ、連絡履歴を同じ流れで探せるようにします。