Fixed IP Guide
普通のクラウド利用だけなら、固定IPは必須ではない
固定IPは、インターネットに出るときのIPアドレスを変わらない状態にする仕組みです。Web閲覧、メール、クラウド会計、オンライン会議を使うだけなら、通常の動的IPで困らない会社も多くあります。
固定IPが役立つのは、特定の会社回線だけ管理画面へ入れるようにしたい、拠点間VPNの接続先を固定したい、社内に置いた機器へ安全な経路から接続したい、といった明確な理由があるときです。契約前に「どのシステムが、なぜ固定IPを求めているのか」を確認します。
固定IP・動的IP・グローバルIPをやさしく整理
IPアドレスは、インターネット上で機器や接続先を識別するための番号です。会社の中ではパソコンやプリンターに「プライベートIP」が割り当てられ、インターネットへ出るときはルーターを通して「グローバルIP」が使われるのが一般的です。
| 用語 | 意味 | 身近なイメージ |
|---|---|---|
| グローバルIP | インターネット上で重ならないように使われるアドレス。 | 建物の外から見える住所。 |
| プライベートIP | 会社や家庭のネットワーク内で機器を区別するアドレス。 | 建物の中の部屋番号。 |
| 動的IP | 接続し直したときなどに変わる可能性があるアドレス。 | 毎回変わる受付番号。 |
| 固定IP | 同じ契約で同じアドレスを継続して使う仕組み。 | 変更されない会社の住所。 |
固定IPが必要になりやすい5つの場面
| 場面 | 固定IPを使う理由 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| SaaSや管理画面のIP制限 | 登録した会社回線からのアクセスだけ許可する。 | 在宅勤務、出張、予備回線から入る方法が必要か。 |
| 拠点間VPN | 本社と支店など、VPN装置が接続する相手を特定する。 | VPN方式、対応ルーター、保守担当、障害時の代替経路。 |
| 社内サーバーやNASへの接続 | 外部から接続する宛先や許可元を一定にする。 | インターネットへ直接公開せず、VPNや認証を使えるか。 |
| 監視カメラ・設備の遠隔確認 | 遠隔から機器へ接続する宛先を固定する。 | メーカーの安全なクラウド接続で代替できるか、初期パスワードを変更したか。 |
| サーバー公開・逆引き | Web、メール、DNSなどを自社側で運用する。 | クラウドやレンタルサーバーの方が保守しやすくないか。 |
固定IPがなくてもよい場面
- Google Workspace、Microsoft 365、クラウド会計などへIDと多要素認証でログインする
- メール、Web閲覧、オンライン会議、クラウド保存が中心である
- 外部から社内機器へ接続せず、公開サーバーも置かない
- 外出先や在宅から同じサービスを使うため、会社回線だけに限定できない
- 困りごとが回線速度やWi-Fiの弱さであり、接続元アドレスを固定する理由がない
固定IPを付けても、遅いWi-Fi、古いルーター、混雑する回線が自動で改善するわけではありません。通信品質の悩みは法人インターネット回線・オフィスWi-Fiの選び方から確認してください。
固定IP、VPN、DDNSは役割が違う
| 仕組み | 主な役割 | できないこと |
|---|---|---|
| 固定IP | 外から見える接続元や接続先の番号を変わらなくする。 | 通信の暗号化、本人確認、端末の安全確保を単独では行わない。 |
| VPN | インターネット上に暗号化された通信経路を作る。 | 弱いパスワードや古いVPN装置の脆弱性を自動では解決しない。 |
| IP制限 | 登録した接続元IPからのアクセスだけ許可する。 | 許可した社内端末が乗っ取られた場合まで防げない。 |
| DDNS | 変わるIPアドレスを一定の名前で追いかける。 | 接続元IPを固定したり、通信を暗号化したりはしない。 |
| 多要素認証 | パスワード以外の要素も使い、本人確認を強くする。 | 回線や通信経路そのものを暗号化する仕組みではない。 |
「固定IPを入れたから安全」ではなく、固定IPによる制限、VPN、多要素認証、端末更新、ログ確認を重ねて考えます。
導入前の判断手順
- 要求元を確認する:どのシステム、取引先、VPN装置が固定IPを求めているかを特定する。
- 用途を言葉にする:接続元制限、接続先固定、サーバー公開のどれかを分ける。
- 利用場所を洗い出す:事務所だけか、在宅・出張・複数拠点でも使うかを確認する。
- 代替手段を比較する:クラウドVPN、ID制御、多要素認証、メーカーの遠隔接続で足りないかを見る。
- 障害時を決める:回線やVPNが止まったとき、予備回線から入れるか、誰へ連絡するかを決める。
- 総費用で比べる:固定IP料金だけでなく、回線、ルーター、設定、保守、予備回線を合算する。
固定IPの費用は「個数」と「回線方式」で変わる
固定IPは、1個で足りる会社が多い一方、複数の公開サーバーやネットワーク機器を運用する場合は複数個が必要になることがあります。IPを余分に買うのではなく、ネットワーク担当者や設定業者へ必要数を確認します。
| 費用項目 | 確認内容 |
|---|---|
| インターネット回線 | フレッツ光など、土台となる回線の料金と工事費。 |
| 接続サービス・固定IP | 1個か複数か。接続方式、対応エリア、無料期間、解約条件。 |
| ルーター・VPN装置 | 固定IPやVPN方式に対応する機器、購入・レンタル、更新費。 |
| 設定・保守 | 初期設定、アクセス制限、障害対応、設定変更の費用。 |
| 予備回線 | 障害時に別回線へ切り替えた場合、IP制限をどう扱うか。 |
ZOOT NEXTが合うのは、フレッツ回線で固定IPを使いたい場合
インターリンクのZOOT NEXTは、フレッツ光向けのインターネット接続サービスです。固定IPは1個から128個まで用意され、公式案内ではファミリー・マンションタイプの固定IP1個が月額1,320円(税込)です。初期費用は無料、最大2か月の無料体験、違約金なしと案内されています。

| 確認点 | ZOOT NEXTで見ること |
|---|---|
| 回線 | ZOOT NEXTとは別に、対応するフレッツ回線が必要。 |
| 固定IP数 | 1〜128個。通常のIP制限用途なら、まず1個で足りるか確認する。 |
| 料金 | フレッツのタイプとIP数で変わる。月額1,320円は固定IP1個の一部回線タイプの料金。 |
| 試用・解約 | 最大2か月無料、最低利用期間なし、違約金なしの案内を確認する。 |
| 設定 | 申込後に接続ID、固定IP、ルーター設定を行う。社内で難しければ設定担当を決める。 |
導入後に残す設定メモ
- 契約している回線名、接続サービス、固定IP数、契約番号
- 固定IPを登録したSaaS、取引先、管理画面の一覧
- ルーター、VPN装置、ファイアウォールの管理担当者
- 在宅勤務、出張、予備回線から接続する方法
- 回線障害、IP変更、機器交換時の連絡先と手順
- 退職者や外注終了者のアカウント・証明書・VPN権限の削除手順
固定IPを登録したサービスを一覧にしないと、回線変更時に「なぜ管理画面へ入れないのか」を調べることになります。契約情報と一緒に、利用先も残してください。